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文部科学省は平成14年7月、「英語が使える日本人」の育成のための戦略構想をとりまとめ、平成15年3月にはその構想達成のための方策「英語が使える日本人」の育成のための行動計画を発表。「すべての英語教員が英検準1級かTOEFL500点、またはTOEIC730点以上の英語力がつくよう国内外の研修を強化する」「小学校での英会話指導の3分の1は英語に堪能な教員が指導できるようにする」など具体的施策を提示した。それらの動きについて現場教員はどう考え、どのような影響を受けているのか。全国英語教育研究団体連合会(以下全英連)平成16年度会長・安保尚子先生(都立町田高等学校長)に聞いた。■文科省の動き
現場の反応
大学を卒業しても実際には英語が使えない、という状況を打破するためにも実用的な英語を教えなければ、という動きは15年前よりありました。しかし、目に見えるような顕著な変化はなかった、というのが実感です。その点、「行動計画」で具体的な視点が打ち出されたことは意義深いことだと思います。これに刺激を受け、頑張ろうとしている先生が多いという印象です。研修の実施も歓迎されていますし、研修後の感想には「これをきっかけにより英語力をブラッシュアップしていきたい」という声が多いですね。
全英連の大会では、毎年1000人以上の教員が集まり、授業における工夫や実践を発表、討論します。研究会としては、より実践的な英語力を身に付ける、という大きな方向性は変わりませんが、より意識がアップしていると感じます。また、テーマにも少しずつ変化が起こっています。昨年は「ITが変える英語教育」という研究発表がありましたし、小中の連携や「評価」、メディア機器の活用に関する研究が増えるなど、着実な変化が起こっています。
■IT化が英語教育
に与える影響は?
もともと、ビデオやCD、テープなどの教材は英語科では早くから取り入れられていましたし、LL教室の導入・活用例もあります。
現場からは、LL教室の更新時期に、コンピュータ教室として施設を移行させたい、そのほうが実際的である、という声も多いんですよ。音声も出ますし、様々なソフトも使えますし、音声を比較することもできます。また、インターネットの活用や海外との交流など、英語学習に有用な、様々な要素が含まれていますから。LL教室をコンピュータ教室に移行することは、現状では手続き上の問題があり、難しいようですが、その流れも変わる可能性もないとはいえません。総合的な英語教育実現のためにもコンピュータ教室の活用は注目に値するところです。
ただしコンピュータ教室が学校に1つだと、複数教科でIT活用を進めたくても、実際には身動きがとりにくい、という問題点もあります。本校にはコンピュータ室が2室ありますが、それでも十分とはいえません。環境整備をなんとか進めていく方策が欲しいですね。
■小学校から英語の授業を
という動きについて
これまで小学校英語は、国際理解教育の中の位置づけでした。それが徐々に拡大していく流れになっていくと感じています。
もちろん様々な問題点は含んでいます。人材も教材も揃っていないのに導入して良いのか、英語以上に国語に力を入れるべき、といった意見もあります。
解決すべき課題はたくさんありますが、小学校への英語導入は、歓迎すべきこと。不備を修正しつつ、進めていくしかありません。時間の確保や人材の不足は確かに問題点。もっとネイティブの発音を耳にできる環境が望ましいですが、例え少ない機会でも、何もしないよりは良いと思います。
小学校で「英語」を取りいれることは、小学生にとって、人と話すコミュニケーションの方法が増えること。実際に聞いた例ですが、外国の方とコミュニケーションをとることができ、子どもがとても明るくなったり、自信を持つようになったそうです。小学校に英語が入ってくると、中学ではそれ以上のレベルが求められるようになります。これは歓迎すべきこと。英語科が、中学校では、もっと知的欲求を満足させる教科となる可能性が生まれます。
■これからの
英語教育について
TOIECやTOEFLを導入している学校も増えています。また、本校では、英語コミュニケーション能力テスト毎年受けさせています。これは「コミュニケーション能力」を身に付けるという目標に向かった動きでもありますが、コミュニケーション能力の定義が「会話」に重点をおかれすぎているように感じます。「読む」ことは著者とのコミュニケーションであり、「書く」ことは、読み手を意識するコミュニケーションです。良いものを読み、表現したい、伝えたい、という気持ちを育むことが、コミュニケーションの第一歩といえます。
また、日本語によるコミュニケーション能力も大切です。これまでのように「グラマー」「リーディング」といった括りではなく、英語を言語として使うための学習、文化として学ぶための学習、「コミュニケーション」という新しい括りの中で英語も日本語も一緒に学んでいくなど、新しいアプローチ方法を見つけていく必要を感じます。
【2004年11月6日号】