ポリカーボネート製食器

ビスフェノールA検出量 基準値大幅に下回る

 学校給食に使われているポリカーボネート(PC)製食器から、環境ホルモン(内分泌かく乱物質)の一種であるビスフェノールAが溶けだすことが問題となり、各市町村では使用の中止や他の食器への切り替えが進んでいた。
 これを受けて、文部科学省では平成11年10月から本格的に調査を進めていたが、このほどその調査結果がまとまった。その結果、食品衛生法で定められている基準値2・5ppmを超えるビスフェノールAを検出したものはなく、約95%以上のもので基準値の500分の1以下の0・005ppmでポリカーボネート製食器あることがわかった。また皿と椀からの平均溶出濃度に有意差は認められず、洗浄の際にアルカリ性洗剤を使用しているものと他の洗剤を使用しているものとの比較試験でも有意差が認められなかった。
 今回の調査対象は、7府県、577市町村、7組合から提出された食器の椀570種及び皿40種の計610種類。溶出試験は、食品衛生法に基づき定められた「食品、添加物等の規格基準」による条件のもと行われ、溶出溶剤として水、4%の酢酸、20%エタノール、n−ヘプタンが用いられ、それぞれ95℃30分、60℃30分、60℃30分、25℃60分の条件下で試験したもの。
 文部科学省によると、平成10年度から11年度について、全国で約8%の市町村等で同食器の使用が減少したとのこと。
 今回の調査で、摂りつづけると身体に影響を及ぼすといわれる食品衛生法の基準値を大幅に下回る結果となったが、環境ホルモンの作用については専門家の間でも意見が別れており、厚生労働省でも研究を進めている段階。
 ごく微量の影響については結論が出ていないのが現状である。

(2001年2月10日号より)