中学校教諭、4割が性教育に「自信ない」


 中学校教諭の4割以上が「性教育に自信がない」と回答−−神奈川県の相模原市教育研究所はさきごろ、児童・生徒とその保護者、教員を対象に実施した「子どもと性実態調査」の結果をまとめたが、それによると、「性教育を教える自信があるか」との質問に「自信がある」「何とかできると思う」を合わせたBYES派Cは小学校教諭が70・7%であったのに対し、性が芽生える思春期の生徒たちを教える中学校教諭は55・7%とやや低くなっており、逆に「あまり自信がない」「自信がない」というBNO派Cが44・3%(小学校教諭29・3%)と、半数に迫る数字だったことがわかった=グラフ参照=。また教員、保護者とも性教育の大切さに一定の理解を示してはいるものの、具体的な指導内容として「性欲・性衝動・オナニー」などは「教えにくい」と感じていることも明らかになった。

性行為関連「教えにくい」
家庭のT教育力Uも疑問


 今回の調査は昨年10月に相模原市内の3年生以上の小学生718人と中学生560人、4年生以上の小学生の保護者330人と中学生の保護者333人、小学生教諭196人と中学校教諭165人、そして小学校養護教諭57人と中学校養護教諭27人の計2386人を対象に行われた。
 まずは子どもたちの意識について、性について知っている言葉を挙げてもらったところ、体に関して高い割合を示したのは、「ペニス」(中学生70・8%、小学生54・3%=以下同順)、「精子」(69・6%、48・3%)、「卵子」(66・9%、49・0%)で、逆に「子宮」、「精通」、「こうがん」は思ったよりも低い結果が出ている。また性行動に関する言葉では、「妊娠」(87・2%、77・4%)、「ストーカー」(84・0%、79・7%)などが高い割合を示し、マスコミの影響もあってか、中学生の7割以上が「セクハラ」「援助交際」を知っていた。
 こうした結果について同研究所では、「精通」など自分たちの体の変化にかかわる知識が乏しい半面、性行動に関する言葉はよく知っており、「性知識のアンバランスが見られる」と分析している。
 次にこうした子どもたちの性知識について、保護者と教員に聞いたところ、まだ子どもだと安心しているのか「発達段階にふさわしい知識を持っている」と評価した小学生保護者と中学生保護者は、それぞれ54・8%、49・6%だった。一方で子どもたちの実態に触れる機会が多い一般教諭のトップは、「大人が想像する以上にある」(小学校35・6%、中学校42・4%=以下同順)、保健室で子どもたちの内面をうかがう機会が多い養護教諭は逆に、「思ったほど持っていない」(46・1%、63・0%)が最も多かった。
 具体的に「子どもから性に関する質問や相談を受けたことがある」と回答した一般教員は、小学校46・9%、中学校57・1%とほぼ半数止まりだが、養護教諭の場合は小学校92・5%、中学校100%とほぼ全員が体験している。この際の対応の仕方については、一般教諭の場合「不十分だが真剣に答えた」が最も多くて小学校72・0%、中学校60・2%。「納得のいく答えができなかった」(28・0%、29・5%)を大きく上回った。しかし養護教諭の場合は仕事柄深刻な相談が多いせいか、小・中学校合わせて逆に「納得のいく答えができなかった」がトップで56・0%。「不十分だが真剣に答えた」の41・3%を引き離す結果となった。
 一方家庭での性教育の実態はどうなのか−−保護者に質問すると、「家庭内での性教育は必要」という項目では、小・中学生の保護者の94・6%が「YES」と答えているものの、その実態については「ほとんどない」「全然ない」が圧倒的で、小学生79・0%、中学生88・5%という数字を示した。この理由についてはやはり「話す機会が得にくい」で、本音と建て前の間で躊躇している実態がうかがえる。
 では家庭で教えるべき性教育の内容について保護者に聞いたところ、1人間性や生命の尊重2性被害の防止3男女交際の在り方−−がベスト3。反対に「性欲・オナニー・性衝動」「避妊法」「性病」などは「家庭で教えにくい」項目の上位を占め、やはり直接性行為にかかわる事柄については敬遠される傾向にあることもあきらかになった。
 また学校で行う性教育について、一般教諭、養護教諭とも「もっと計画的に教える必要がある」「現状で十分」「学校で行う必要はない」−−の順だった。この中では中学校教諭のちょうど1割が「学校で行う必要はない」と回答していたのが目立った。さらに学校で「性教育を誰が担当するか」という質問をしたところ、1学級担任2保健体育の教員3校医4家庭科の教員−−という順で挙がった。

(2001年4月14日号より)