「専門里親制度」を創設

傷ついた心のケア目指す


 増え続ける一方の児童虐待対策の一環として、厚生労働省は、被虐待児童専門の「専門里親」制度を創設すると発表した。親から虐待を受けた子どもを、児童相談所のOBなど経験豊富な専門家が一時的に引き取り、虐待によって傷ついた心のケアを行うもの。平成14年度の創設をにらみ、来年度概算要求に関連経費を盛り込む。
 そもそも里親制度は、病気や経済的な理由で親元で暮らせない子どもを、都道府県に里親登録した人が引き取って、一定期間預かるシステム。同省によると平成11年度末までに7446人が登録し、2122人の子どもがこの制度を利用している。
 児童虐待の増加とともに受け皿の児童相談所は満杯で、定員を上回る施設もでている。このため親などの暴力で心に深い傷を受けている子どもたちの新たな受け皿が求められ、心の傷の回復を目的とする専門的なケアができる「専門里親」が必要と判断した。里親は児童相談所や児童養護施設などで働いた経験がある専門家に限定。健全な家庭生活を通じて子どもの心の傷を癒す。期間はこれまでの里親よりも短く、週末だけ預かる方式も採用する。
 経費は現在の里親制度の場合、子ども1人につき里親手当(月額2万8000円)と生活費を併せ、月平均9万円程度だが、今回の場合は特別な知識・経験が必要なため、増額する考えだ。



(2001年9月8日号より)