ジュースの甘さと色考えよう

糖度計使い糖分を分析
東京・世田谷消費者生活センター 夏休み親子教室


 喉が渇くと手軽に飲んでしまう清涼飲料水。果たして身近な飲み物に砂糖はどのくらい入っているのだろうか。
 8月23日、東京・世田谷区消費生活センター主催による消費者カレッジ公開講座「夏休み親子教室〜ジュースを作って、甘さと色について考えよう〜」が開催され、(財)消費者教育支援センター専務理事を務める植苗竹司氏の指導のもと、地域の親子17組40名が参加した。
 まず、市販されている清涼飲料水3505018缶に砂糖がどのくらい入っているのかを植苗氏が質問。答えのスティックシュガー(3g入り)13本を見せられた子どもたちはびっくり。実は米国内で販売されている同じ飲料水には成分が表示されているが、日本で販売されているものには明記されていない。
 糖度計を用いて実際の糖分を分析したり、オレンジをしぼって糖度や甘さを比較した。また冷やしていない常温の水道水に先程の1缶分と同量の砂糖を溶かして味見したところ、教室のあちらこちらから「うえっ甘い、気持ち悪い!」などの声が上がった。今度は、冷水に同量の砂糖を溶かして試飲してみると多少飲みやすくなることを実感。メロンやいちごなど子ども達の好きな果物の風味がついた食用色素や香料など、用意された様々なものを砂糖水に添加していくと、みるみる味が変化し、本来入っている砂糖そのものの「甘さ」を感じなくなり、美味しく飲んでしまえることが判明。お母さん方からは「今まで子どもたちが好きなので、お菓子よりいいかなと思ってつい飲ませていましたが、こんなに砂糖が入っていたなんて知りませんでした」と驚きの感想が聞かれた。
 最後に売る側の気持ちになって、子どもたちが清涼飲料水の宣伝用のポスターを作成。キャッチコピーに関心が集まり、一般に消費者は、日頃確かな情報に基づいた買い物をしていないことが説明された。
 汗をかき、水分が欲しくなる夏場は「ペットボトル症候群」が増える時期だ。これは、ジュースや果物など糖分を多く含んだ飲料をたくさん取って、体調不良に陥る一過性の糖尿病のこと。スポーツドリンクや果物は意外と糖分は多いが、飲みやすく大量摂取してしまいがちなため、患者も自覚症状がないまま、症状を悪化させていることもあるようだ。だが、糖分には心と体の疲れを癒すはたらきもあることから、適度な摂取は必要で、一日平均10g前後が望ましいとされている。
 糖分を取り過ぎる子どもが増加し、食生活の見直しが必要とされている現代だが、日頃の親子間ではしつけを徹底しにくい面もある。そういった意味からも、今回、子どもたちは親と一緒に自分自身で体験しながら、楽しく学べたようだ。消費生活センターでは、様々な消費者向け講座を展開しており、今回の講座も「糖分」を通して、「消費者」として、普段口にするものへの関心を持つきっかけ作りになったのではないかと思う。
〈取材=小倉朋子〉



(2001年9月8日号より)