高校で健康教育週間
東京・九段高校



 ・自分の健康・について考えるきっかけ作りに−−学校、家庭、地域が連携して行う全国でも初の試みとなる「健康教育週間」が東京都立九段高等学校(佐藤美穗校長・生徒数850人)で昨年12月18日から21日まで行われた。
 エイズや食生活、心の健康など18の講座に分かれて行われたテーマ別指導や、対話式性教育、作家の松本侑子氏を招いた対談形式の講演会、アルコールをテーマにした講演会など連日、様々な健康教育の場が設けられた。また講演会には、保護者や地域の人々も参加し、講師として保護者が授業に参画するなど地域全体で子どもの健康を考える機会にもなった。
 1日目のテーマ別指導では、学校歯科医や薬剤師、保健婦、助産婦、栄養士、薬物体験者などを講師に招き、1、2年生全員がクラスや学年の枠を超えて自分達の興味のあるテーマに分かれて参加。「生徒自身でテーマを選択することで、自然と興味が湧きますし、受け身の姿勢ではなくなります」と同校養護教諭の竹下君枝先生は話す。どの授業も一方的な指導ではなく、生徒自身が健康について考え、話し合うという形で進められた。
 2日目の助産婦、保健婦による対話式性教育は2年生を対象に各クラス男女に分かれて行われた。講師の中には生徒への指導は初めてという助産婦も。「妊娠、避妊、性感染症などについて知ってもらい、この授業を通して自分を大切にする気持ちを育てて欲しい」と話す。
 生徒たちには、事前に「何を聞きたいか」とアンケート調査を行い、それをもとに講師が疑問点や不安に答える形で授業が進んだ。男子のクラスでは避妊具の扱い方や射精について、女子のクラスでは出産、避妊の意味や中絶方法、さらに実際に中絶に訪れた女子生徒の話など助産婦ならではの話も出て、生徒達は真剣な面持ちで耳を傾けていた。
 今回の試みは、計画の段階からテーマの設定、講師の派遣に至るまで、そのほとんどが生徒主体で進み、「健康教育プロジェクト」として進路の決まった3年生や保健室登校の生徒などが中心となって取り組んだ。
 保健室での個別指導だけでは子どもの健康問題に対応しきれないと、以前から積極的に健康教育に力を注いでいた竹下先生。「昨年までは年に1回学年別に行っていたものですが、集中的に健康を考える機会を作りたいと以前から考えていました。健康教育は単発的に授業で取上げるだけではなかなか身につかないものです。この健康教育週間をきっかけに、生徒自身が自分の健康について考えられるようになってくれればと思います」と話してくれた。






(2002年1月12日号より)