協議会設立10周年記念
全国養護教諭連絡協議会 第7回研究協議会を開催



 全国養護教諭連絡協議会第7回研究協議会が、2月21日に東京国際フォーラムで開催され、全国の養護教諭ら関係者約1200人が参加した。同会発足設立10周年を記念して、これまで10年間の歩みが報告されるなど盛大な会が開かれた。今回の協議会テーマは「養護教諭の職を考える〜21世紀の飛躍のために〜」。
 特別講演では、日本教育カウンセラー協会会長の國分康孝氏を講師に迎え、教育カウンセリングの立場から養護教諭の職のあり方についての提言が行われた。養護教諭の職を考える上で、まず養護教諭のアイデンティティの確立が重要であると國分氏。自分のできることとできないことをまずは認識するために、他の職と比較し職務の違いを認める。養護教諭でない人とどこが同じでどこが違うのかを考えることで職務の明確化が図られるという。
 カウンセリングにおいては、養護教諭が行うのは「育てるカウンセリング」であり、スクールカウンセラーなど臨床心理学の専門家が行う「治すカウンセリング」との違いを明確に認識することが大事であるとのこと。スクールカウンセラーが行う「治すカウンセリング」は心理療法が必要な子どもに対し1回に1時間近く時間をかけた面接が繰り返して行われ、ゆっくりと行動の変容を目指す。
 「育てるカウンセリング」は、友達の問題や、進路の問題、性格の問題など発達課題を抱える子どもが主な対象であり短い時間で解決が求められる。子どもの話をただだまって聞くことで解決を求めるのではなく、時間制限の中で能動的に働きかけることも大切だという。また集団対象のカウンセリングとして構成的グループエンカウンターなど養護教諭ならではのさまざまなカウンセリングをはたらきかけてほしいと國分氏は話す。「養護教諭は治療者ではなくあくまでも教育者です。養護教諭の職についてそれぞれが見つめなおし、健康教育を実行していける力を養って欲しい。これからの健康教育のあり方として、様々な人がチームを組んで子どもたちをヘルプする時代であり、チームを組む際の主たるコーディネーターとしての役割が養護教諭には求められているのです」と健康教育のあり方についても述べた。
 続いて行われたフォーラムでは、田嶋八千代文部科学省健康教育調査官の基調講演を受けて、大学教授や養護教諭による意見発表が行われた。
 女子栄養大学の鎌田尚子教授は、国際スクールナース会議や健康教育ヘルスプロモーション世界会議などで紹介された他国の現状、取り組みについて報告。自分の健康をコントロールできる力ヘルスプロモーションは世界的にも広まっており、日本でも養護教諭が中心となり積極的に推進していって欲しいとした。
 北海道教育大学の後藤ひとみ助教授は、養成教育の現状から養護学の確立について言及。養成課程における教育は、様々な分野の専門家によって為されており、養護教諭養成課程そのものの不明確化を指摘。養護教諭の職の明確化をはかるためにも固有の学問体系を確立していくことが重要であるとした。
 昨年度から長期研修生として千葉大学大学院で学んでいる米元まり子さんは、大学で行われている研究と現場とのつながりの希薄さを指摘。学問と現場が絡む場、連携を高める方策の検討が必要であるとした。「大学で行われている研究と現場の問題点を同時に捉えていくことが大切であると思います。大学での優れた研究成果が現場で生かせるように連携をはかっていかなければならない」と述べた。
 会場からの指定発言では、養護学校における医療ケアの問題などが提起され活発な意見交換が行われた。

職務に関する意識調査 中間報告

 養護教諭、管理職、担任、保護者を対象に全国規模で実施した「養護教諭の職務に関する意識調査」の中間報告が職務検討委員会より行われた。今回は養護教諭の調査結果について概要を報告。
 基礎調査結果として「複数配置校」は約9%、「保健主事兼務」は32%、「兼職発令を受けている」は28・9%。職務に関して聞いた自己評価の主な結果として、保健指導の実施内容について歯科が最も多く68%、次いで性教育が56%、食生活、煙草については5割弱で実施されていることがわかった。また学校保健委員会へは約6割が参画していると答えており、5割がスクールカウンセラーと連携を行っている。この他、健康相談活動や救急対応、健康観察についてなど各項目の結果が報告された。同報告は来年度中に、教育実践事例集とともにまとめられる予定。


(2002年3月16日号より)