女子中高生の牛乳離れ進む

 「牛乳を飲むと太る」「コレステロールが上昇する」といった誤った情報などにより、特に女子生徒に牛乳離れが進んでいるという。
 そこで実際に、牛乳を積極的に摂取している層とそうでない層とを比べ体重や体脂肪値、骨量などを比較する調査が行われた。中・高校生約6000人を対象に行ったこの調査では、牛乳の摂取状況が男子に比べて女子が少ない事などが明らかとなった。
 学校給食が行われている長野県内の中学3年生の例では、1日の牛乳摂取量が「400mL以上」と答えている男子生徒が4割以上に対し、女子生徒は2割に満たない。「ほとんど飲まない」との回答が男子ではほぼゼロに近いのに対し、女子では1割以上が回答。都内の高校3年生女子では「400mL以上」飲んでいる子は5%に満たない回答で、「ほとんど飲まない」が4割弱を占めている。1日のカルシウム摂取量も中学生で男子の方が女子よりも100mg以上多く摂取していることがわかった。
 中高生男女ともに「牛乳が好き」と答えている子が半数以上を占めたが、学年が上がるに連れて「嫌い」との回答が増えている。嫌いな理由としては「お腹が痛くなる」「太る」「臭いや味が嫌」という回答が多く、また「米と合わない」といった学校給食での「ごはんと牛乳」のイメージが強いと思われる回答も見られた。
 牛乳摂取と体格の関係について調べたところ、身長と体重に関しては牛乳摂取状況の違いによる差はほとんどなかった。しかし体脂肪率に関しては、牛乳の摂取量が多い子どもの方が少ない子どもよりも低く、また骨量に関しては摂取量の多い子どもの方が骨量が高い傾向にあることが明らかとなった。さらに牛乳摂取量と運動状況を掛け合わせてみると、運動をしていて牛乳摂取量の多い子どもの骨量が最も高く、運動をせず牛乳もほとんど飲まない子どもの骨量と大きな差が生じた。
 また排便状況との関係については、「ほぼ1日1回の便通がある」との回答が、牛乳摂取「400mL以上」の子どもの約4割で、「ほとんど飲まない」子どもでは約2割。牛乳摂取が多くなるほど、排便回数も多くなることがわかる。さらに、「体がだるい」「顔色が悪い」「イライラすることがある」「キレルことがある」といった体の不調を訴える不定愁訴数は牛乳摂取が少ないほど多い傾向にあることもわかた。
 今回の調査を行った女子栄養大学の上西一弘助教授によると、女子では小学校高学年、男子では中学生の時期にどのくらい牛乳を摂取したかということが体の成長に大きく影響するという。「子どもたちが牛乳を毎日飲める環境づくりのためにも、家庭の冷蔵庫に常備するなど親の意識も高めて欲しい」と上西氏は述べている。




(2002年6月13日号より)