有機栽培の野菜を給食に
給食の時間での栄養指導はもとより、総合的な学習の時間や各教科など積極的に授業へ関わっている東京都荒川区立赤土小学校の学校栄養職員宮島則子先生。総合的な学習の時間では、各学年最低でも1時間は宮島先生が参画する授業が年間指導計画に組み込まれている。
6年生の総合的な学習の時間では、日本の心を学ぶという授業で抹茶茶碗作りや掛け軸作りに合わせて和菓子作りの授業を取り入れ、その授業に宮島先生も参加。専門学校の先生など専門家を講師に招き、宮島先生も一緒になって子どもたちと和菓子作りに取り組み、子どもたちの先頭にたって講師へ質問も。また1年生の生活科の授業では韓国人の保護者を講師に招き、チヂミ作りに取り組んだ。ここでも宮島先生はアシスタントとして授業をコーディネート。
校内組織では高学年研究部会に属し、校内研究事業にも積極的に参加。少しでも食に関する授業を見つけては担任と調整し、できるだけ授業に参画するようにはたらきかけている。また授業と学校給食との関連づけも必ず行い、子ども達が育てたケナフで作ったケーキを献立に出したり、1年生の生活科では、そらまめやいんげんなど観察したり、数を数えたりしながら子どもたちにさやをむいてもらい、その豆を給食で使うことなどしている。
5年前から有機野菜を使用
同校では、5年前から有機栽培の野菜を給食に取り入れている。新鮮で無添加、手作りにこだわり、良いもの、健康に役立つものを子ども達に食べさせたいという思いのもとである。値段が高価な場合もあるが、生産者から直接購入したり、市場と交渉するなど調整を図っている。
また、ただ有機野菜を提供するだけでなく、有機野菜のよさを子ども達に伝えるために、有機野菜と普通の野菜とで比較実験を行った。トマト、ピーマン、たまねぎなどを瓶に詰めて密封したところ、半年後には明らかな差が目に見えて表れた。有機のトマトは透明な液体にうっすらとカビが生える程度できれいな赤色のまま。一方、有機でないトマトは黒く変色し、濁った液体の中でドロドロに溶けてしまった。これを目にした子ども達は、その後、自分達が口にする野菜への関心、有機野菜への興味が増したという。
宮島先生はこの他にも、たくさんの栄養指導資料を作り、それを手にランチルームでの指導を続けている。ビニールホースで作った腸管や、ペットボトルと卓球の球で作った血管の模型などさまざま。箸の学習では、単なる箸の指導に留まらず、動物の手足の骨の学習にまで発展させていった。
「実物を見せて指導するのが一番効果的で、子ども達にとってわかりやすいのです」と宮島先生は話してくれた。
(2002年6月13日号より)
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