衛星管理状況の二極化進む
 
危機管理の周知徹底を

 文部科学省より、「学校給食における衛生管理の改善に関する調査研究報告書」がまとめられた。
 昨年度、学校給食における食中毒の発生件数は6件、有症者数515名。これは平成12年度の4件、有症者767名からは2件上回るものの、有症者数は平成元年以来最小数を記録。原因菌はサルモネラ・エンテリティディス(SE)2件、小型球形ウイルス(SRSV)1件、黄色ブドウ球菌1件、ウエルシュ菌1件、調査中1件。発生原因は、外部委託品2件、五目ご飯1件、ニラとモヤシのゴマ和え1件、原因不明1件、調査中1件。
 腸管出血性大腸菌O157は、平成8年度以来1件も発生していないが報告書では、全国の学校給食共同調理場を見る限り、少しでも手を抜けば食中毒が発生する状況にあると指摘している。

巡回指導先の問題点
 今年度の巡回指導事業は全国13か所で実施。過去に食中毒が発生した調理場3件のほか、厚生労働省による指摘を受けたところを中心に実態調査、ふき取り検査、指導が行われた。
 報告書では巡回指導先に見られた食中毒事件の事例について、発生の概要や規模・原因、認知状況から直後の対応、問題点などを列挙している。事例の一つでは、対応の遅れを指摘。このケースの場合、「風邪」との認識が強く、推定罹患日から学校給食の中止決定まで10日間を要している。学校での日常の健康管理や欠席状況の把握が十分になされていれば、学校給食も視野にいれた早急な対応ができたはずであるとしている。
 食中毒が発生した調理場の共通点として、「学校給食衛生管理の基準」が遵守されていない、危機感が低い、学校栄養職員が衛生管理の責任者として役割を果たしていないなどの点が挙げられている。
 未だ改善が進んでいない調理場は、ウエット方式、2次汚染の可能性のある調理、諸帳簿の不備などがあげられ、一方改善の進んでいる調理場は、ウエットシステム調理場のドライ運用、施設設備の整備などの状況が見られたとのこと。今後、学校ごとの衛生管理状況は二極化に進む傾向にあるのではないかと危惧している。
 学校給食を原因とする食中毒が減っている理由として、確実な加熱、調理後2時間以内の喫食、調理従事者の健康チェックなどによって抑えられているとしているが、大量調理であるとともに、抵抗力の弱い児童・生徒に対するため一層、徹底して取り組むことを呼びかけている。

今年度に向けて
 今年度に向け、特にサルモネラ・エンテリティディス(SE)による食中毒予防の徹底を挙げている。卵を攪拌した泡だて器の扱いなどに注意し、洗浄・消毒を徹底して指導することが必要であるとしている。また、外部で加工された学校直送品については、委託する際の十分な調査、学校における検収・検食・保存食の採取等を確実に行うことを呼びかけている。
 今年度から衛生管理推進指導者派遣・巡回指導事業は、文部科学省から日本体育・学校健康センターへ移管されて行われるが、事業の趣旨は変わらず、より一層の徹底が図られることを期待すると報告書ではまとめている。




(2002年7月13日号より)