教師以外の指導者も導入
 「子どもの体力向上のための総合的な方策について」(中教審)

体力向上で中間報告
 スポーツふれあい広場の確保を

放課後に学校施設の開放を−−中央教育審議会(鳥居泰彦会長=日本私立学校振興・共済事業団理事長)は、さきごろ、「子どもの体力向上のための総合的な方策について」の中間報告をまとめ発表した。これは「最近子どもの自由な時間や遊び場、遊ぶ仲間の減少によって外遊びで体を動かす機会が減り、結果として体力・運動能力が落ちている」と指摘。対応策として1放課後などに学校施設の開放をより一層進める2公共用地を外遊びの場として活用する3教師が子どもに体を動かす楽しさを体験させるような指導方法の研修を実施する−−などを提言したもので、この秋にも答申をまとめる予定だ。

 中間報告ではまず、東京オリンピックが行われた昭和39年から文部省(当時)が実施している「体力・運動能力調査」の結果から、子どもの体力・運動能力が昭和60年ごろからの低下の一途を辿っていると指摘し「体力は人間の発達・成長を支える基本的な要素」と位置づけると同時に、「運動をするための体力や健康に生活するための体力を向上させることが必要」と強調している。


学校の運動場 開放を推進
 この体力・運動能力低下の原因としては1保護者をはじめとする国民の意識の中で、外遊びやスポーツの重要性を、学力に比べて軽視する傾向が進んだ2交通手段や電化製品の発達・普及、高層化など都市化による住宅環境の変化により、日常的に体を動かす機会が減少した3スポーツや外遊びに不可欠な時間、空間、仲間が減った4学校における指導が必ずしも適切でない場合がある−−と分析し対応策として、外遊びなどの機会や場、仲間を確保するために、子どもが個人単位で集まって手軽に外遊びやスポーツができる空間を「スポーツふれあい広場」とし、全国各地に確保するよう提案。具体的な方策として▽球技の禁止など公園での種々の規制を緩和し自由に遊べるようにする▽公共施設の跡地や未使用の公共用地を活用する▽学校の運動場などの開放を一層推進する▽企業や個人が所有する未利用地、運動場などを開放する−−といった点を示している。


小学校に総合運動部を
 また一方で、学校における取り組みについては「体育・保健体育の授業、特別活動、・総合的な学習の時間・、運動部活動など学校教育全体で体力の向上に取り組むことが期待される」と指摘。その際には複数の指導者を配置して、きめ細かな指導を行うことも提案し、教師だけにとどまらず地域のスポーツ指導者や大学生などを「補助者とすることも効果的」と示している。特に運動部活動に関しては1外部指導者による指導を積極的に導入する2複数校合同運動部活動を推進する3多様なスポーツを体験できる総合運動部を推進する−−などを求め、「総合運動部」については小学校の段階でいろいろなスポーツを行って、バランスの取れた体の成長を促すことができ、自分に合ったスポーツを見つけられるため意義が大きい−−と強調している。


 その他今回の中間報告では▽保護者をはじめとする国民全体が、体力の問題について正しい認識を持つよう、全国的なキャンペーンを実施する▽子どもが体を動かすめたの動機づけになるような施策を実施する▽体力向上のためのプログラム開発と、「スポーツ・健康手帳」(仮称)の作成・配布を行う−−といった方策を盛り込んだ。


(2002年8月10日号より) 新聞ご講読のお申込はこちらへ