学校・家庭で子どもの成長に合わせた下着教育を

ジュニアのバスト
 成長と下着の選び方セミナー

 グンゼ(株)アパレル事業本部開発課 「快適工房」 御手洗幸子さん
  
 グンゼ(株)では小学校高学年から中学生の女子を対象とした下着の研究開発に力を注いでおり、ジュニア用下着ブランド「piedclair(ピエクレール)」を展開している。今回、商品開発に携わっている同社の御手洗幸子さんより、「ジュニアのバスト成長と下着の選び方」をテーマにセミナーが行われた。


■成長メカニズム
 バストの成長は、エストラジオールとプロゲステロンという、主に2種類のホルモンが関っており、特にプロゲステロンは初潮後、急速にバストを発育させる。
 早い子では7歳くらいからバストの成長が始まるが、平均すると10歳前後で乳首の変化が見られるようになり、初潮がはじまる12歳前後はバストが最も成長する時期であり、サイズも急激に変化。12歳頃まではAカップが大半を占めていたのに対し、14歳以降はカップの種類も個人差が出てA、B、Cと分かれていき、成長期から成熟期へと移行していく。


■成長段階
 主にバストのトップが目立ち始めた時期、ふくらみはじめた時期、乳房が成長する時期、大人のバストに近づく時期と4ステージに分けることができる。
 第1段階では乳首がわずかに突出し、胸のあたりが硬くなりトップがふくらみ始める。この時期はタンクトップやハーフトップを着用し、刺激を与えずにバスト部分をカバーすることが大切。
 バストがふくらみ始めファーストブラを着用する第2段階では、急なバスト変化に対応することが大切な時期。生地の伸び縮みはもちろん、体の動きに合うような肩ひもの伸び縮み、すっぽりとバストが収まるようなデザインのものを。
 さらにノンワイヤーブラを着ける段階で気をつけたいことは、大人用のブラジャーを小さくしたようなデザインのものを選ばないこと。ふくらみ始めのバストは大人と違ってやや外向きで硬いので、カップの端が包み込みの大きいデザインのものが最適である。バストの輪郭がはっきりしていないうちに、脇の部分をがっちりと強く圧迫してしまうような大人用のブラジャーはできるだけ避けたい。
 ブラジャーになれてくる頃、下着のデザインへの興味が増し、それとともにワイヤーブラを着用する子どもも増える。この時期には大人用のワイヤーではなく、柔らかく広めのカーブにデザインされたワイヤーが理想。
 バストの発育に関わりのあるホルモンは血管を通って血液とともに体を巡るが、その重要な血管の中にはバストの脇の部分を通っているものがある。血液の中にホルモンが流れてバストを発育させようという成長段階に、大人用のワイヤーブラで強く圧迫してしまうと、直接もしくは間接的にホルモン活動、つまりは成長にも影響してしまうことが考えられる。
 バストの成長は20歳前後まで続くため、その期間はなるべく締め付けすぎず、柔らか目のワイヤーや広めのカーブにデザインされたブラジャーなど、体に負担の少ないものを着けることが理想。


■グンゼの下着
 グンゼ(株)のジュニア用下着ブランド「piedclair(ピエクレール)」のタンクトップやハーフトップでは天然保湿成分を使用し、衣服内の水分量をコントロールするピュアケア加工を使用。前身2重で色や形が透けないように配慮がされている。
 ファーストブラでは、伸縮性のよい素材でバストをつぶさないよう配慮がされており、ノンワイヤーブラでは、外向きに成長する胸に合わせカップラインの幅を広くとっており、初めてホックを体験するジュニアでもつけやすいボタン式ホックを採用している。ワイヤーブラでは、カップもゆったり目に設計されており、ソフト樹脂ワイヤーを採用しているので圧迫感がない。この時期のバストは硬めなので、無理せずにやさしく包みこむことが大切である。


■適切な下着教育を
 柔らかな素材とそうでない素材とでは、ストレスや免疫機能への影響にも差が出ることが明らかとなっている。着用が長くなるほど、その差は歴然。ジュニアの頃からブラジャーはきついのが当たり前になってしまわないようブラジャーに対する意識を高めることが大切。
 家庭や学校では性教育同様、ブラジャーなど下着教育も積極的に行い、ブラをつけることが恥ずかしくない環境作りが求められる。ブラジャーは胸の大きい子だけが着けるものではなく、小さくても発育の進んでいることを意識し、成長段階にあった下着を着用させるよう親や教師の意識改革も求められる。

<養護教諭を対象にした「ジュニア用下着の知識」調査>
詳細はこちらへ


(2002年8月10日号より) 新聞ご講読のお申込はこちらへ