子どもの心とからだの健康 

高校生にもクラミジア激増

  性感染症予防教育を
   ---15歳で10万人あたり236人

  自覚症状ないうちに感染

 中学生、高校生の性の逸脱行動、10代の妊娠中絶率が増加傾向にある中、性感染症についても若者を中心に増加していることが明らかとなった。性感染症の代表格ともいえるクラミジアが若い女性を中心に増加傾向にあり、高校生では卒業時に入学時の約6倍まで激増していることが、厚生労働省研究班(班長:熊本悦明札幌医大名誉教授)の調査で明らかとなった。
 クラミジアとは、0・3ミクロンほどの微生物で、細胞内に寄生して増殖、結膜炎や肺炎を起す仲間もいる。性感染すると女性では子宮けい管炎、男性では尿道炎が起こり、排尿時などにかゆみや痛みを伴うケースがある。また感染すると、エイズ感染の危険性が約5倍高まり、将来不妊の恐れもあることからコンドームの使用や、性感染症予防教育を中学3年生、高校1年生で徹底して行う必要性が求められている。
 研究班ではここ数年7〜9都道府県で、性感染症の患者が受診する医療機関に協力を依頼し、6月と11月の患者数を、病気の種類や年齢ごとにすべて集計した。昨年のデータをもとに分析した結果、男性患者の10万人あたり年間158人、女性が282人となった。クラミジアに感染しても、男性の半数、女性の5人に4人は自覚症状がないとされており、実際の感染者はもっと多いと考えられる。研究班では、男性の約5万人、女性の約85万人が感染しているのではないかと推計している。男女合わせて国内の感染者は100万人にのぼると考えられる。
 一昨年のデータから年齢ごとに患者数を分析すると、女性は14歳でゼロなのが15歳になると10万にあたり年間236人に増加し、さらに1歳上がるごとに1・5倍〜2・6倍に増加、18歳では1448人に上る。男性は女性よりも1年遅れで16歳〜19歳で急増していることがわかった。
 これまで行われていた国の調査では、5歳刻みの統計がほとんどで、年齢ごとの患者の発生状況が明らかとなったのは今回がはじめてとなった。
 今後、学校現場でもより一層性感染症予防も含めた性教育が行われなければならないだろう。


(2002年12月14日号より)