教育家庭新聞・健康号
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基礎調査
回収率99.3%は実情の現われ
東京都健康相談活動支援体制事業
 東京都教育委員会が文科省の同名事業を活用し、平成15年度から3年計画で進めている「健康相談活動支援体制事業」(本年度より「学校・地域保健連携推進事業」と改称)で、昨年10月に実施した健康相談活動に関する実態調査の結果がこのたび公表された。都立高校全294校を対象に、回収状況は全日制197校(回答数199校)、定時制95校(回答数95数)の総数292校。これを回収率にすると99・3%。そして、調査票中、自由記載欄には151件の意見や要望が寄せられており、なかには200字を越えるものも少なくない。

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 この実態調査は「基礎調査」「相談状況調査」の2種。
 「基礎調査」=1 属性 2 学校での生徒の心の問題への対応状況 3 保健室での健康相談活動等。

 1では地域、学校の種別(普通科など4種)、進学率(40%以上86校、40〜15%112校、15%未満78校)、学校規模(700人以上95校、700〜200人102校、200人未満95校)にわけ、集計に役立てている。2の設問は、(1)学校内の教育相談機能について、(2)保健室の勤務状況、(3)スクールカウンセラーの配置状況(15.1%)、(4)心の健康に関わると考えられる問題を抱えた生徒について、(5)生徒の心の健康問題への対応について特に取り組んでいること、(6)生徒の心の健康問題への対応について問題点や課題。3の設問は、(1)健康相談活動に伴い連携した関係者、関係機関について、(2)養護教諭がかかわり心の問題のために継続支援した事例について、(3)健康相談活動一般について。

 2の(1)では、「組織としてある」は全体で18.2%、「組織はないが機能はある」57.9%。種別でみると、組織率は全日制が高く、機能を合わせると定時制が8割を越す。(2)では養護教諭の複数配置は4.8%、規模の大きい学校に多い嘱託配置とあわせても17.1%しかない。(4)調査対象生徒数14万1269人からすると、「不登校」は百人に1.2人。千人に対し、「精神疾患及び心身症」は6人、「自傷行為」は3人、「摂食障害」は1.5人となる。(6)での記載率は67%。一例として、「生徒が多様化し問題が多岐にわたる。学校だけで対応できない事例も増えている」「専門医、相談機関との連携づくりが必要。専門の医療機関へのつなげ方がわからない」など。

 3の(1)では、健康相談活動全般について、「校内連携の評価」で、「うまくなされている」「まあうまくなされている」が76%。しかし反面、、「スーパーバイザーがいない」「共通理解がない」「担当だけで抱え込む」「みな多忙で大変」など。その中で医療機関の診療科では内科(50.3%)、精神科(52.3%)の次に産婦人科(23.8%)、と続いている。だが、校外連携の評価となると、「うまくなされている」「まあうまくなされている」をあわせても44.5%で、「医療機関が少なく、受診や相談までに時間がかかりすぎる」「情報不足」「本人.保護者が受診を嫌がる」など問題点も多い。

 (2)その「あり」と回答した学校で校外の相談機関.精神科医等への相談が必要と思われる事例があったのは約90%、1校当たり3.3人。そのうち相談に結びつかなかった事例のある学校は37%で、理由は「生徒自身の拒否」「保護者の理解が得られなかった」「本人、家族に問題意識がない」「病院の予約が取れない」など。

【2004年7月17日号】