教育家庭新聞・健康号
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食のフォーラム
若者の食生活にどう向き合うか
生産に参加体験を
それぞれの立場から食育の具体的な提言があった。
それぞれの立場から食育の具体的な提言があった。
 「日本の未来を担う若い人たちの食生活のあり方」をテーマに、平成16年度第1回・食を考える国民フォーラムが6日、東京・内幸町のイイノホールで、食を考える国民会議の主催によって開催された。「食育」への関心の盛り上がりをうけ、会場は約500人の入場者で盛況。パネルディスカッションではアナライザーを通して、会場の反応を受けながらの進行が行われた。

 就任したばかりの島村農水相は祝辞で、食生活の乱れや食料問題、食品の安全・安心の確立など、課題が山積する食の問題への理解を訴えた。

 フォーラム前半は「食料の需給の昔、今、そして未来」をテーマに農政ジャーナリスト・中村靖彦氏、「子どものうちから好ましい食生活へ」をテーマに東京女子医科大名誉教授・村田光範氏の基調講演。後半は女優・藤吉久美子氏、管理栄養士・金子ひろみ氏、(社)日本べんとう振興協会・小林幸夫氏が加わり、パネルディスカッションが行われた。


 世界中から様々な食材を輸入し、バランスのとれた健康食を実現した1970年代の日本型食生活だったが、徐々に肉食を中心とした欧米型に移行。また若者に見られる食生活の乱れも深刻。フォーラムは食の今日的課題を掘り下げ、パネラーと会場が問題意識を共有した。 農政ジャーナリストの中村靖彦氏は冒頭の基調講演で、食料自給率の推移をベースに、終戦直後の「日々、何をどれだけ食べられるかに汲々とした時代」から今日まで、そして未来の日本の農業政策を解説した。

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 中村氏は今日の食生活を「多様化と簡便化の時代」だと定義。豊かさの反映だが、これが現在の食料自給率40%(カロリーベース)という事態を招いた要因にもなっていると言う。食料の輸入は米・中国への依存が大きいが、両国の将来には不安材料があることを指摘。中国の急速な工業化はかつての日本と同様、農業生産へのしわ寄せが懸念される。米国では表土流出や地下水の減少が深刻になっている。

 少子・高齢化社会を迎える日本は、食糧生産の基盤を、地域の自然・風土にふさわしい農業の在り方の上で見直す。それには子どもの時から農業への理解・関心を啓発する「食育」が大切だとまとめた。

 東京女子医大名誉教授の村田光範氏は、食生活の乱れが子どもの発達に及ぼす影響を、データと共に紹介。中でも中・高校生の10%が朝食を摂らないという実態に注目。「時間がない」、「食欲がない」、「ねむい」などが主な理由で85%に上っている。「これは子ども達の生活が夜型になっているため」だと指摘。

 脳のエネルギー源は主にでん粉から作られるブドウ糖。食事から8時間以上も過ぎ栄養補給されない状態だと、脳の働きは鈍り、イライラし、学習に集中できなくなるなど、このままでは深刻な事態だと語った。

86%が「若者の食生活に不安」
 パネルディスカッションでは、「若者の食生活の在り方」を討論。会場の参加者約450人にアナライザーで、「若者の食生活に不安を感じるか」と質問したところ86%が「はい」。しかし「正しい食生活を若者に伝える自信があるか」では、「はい」が52%でトーンダウンだった。

 管理栄養士の金子ひろみ氏は「食に興味のある人とない人の差が激しい。健康に関する情報にもそれは言える」と問題提起。10人のOLに調査したところ、全員が食・美容への関心が高いと答えたが、日常の食事内容はサプリメント、漢方薬が中心で偏っている。個食・弧食と言われるが、家庭で親子の会話を通じて何をどう食べるかを教えて欲しい。また学校給食作りに子どもが参加する、献立に子どものアイデアを反映させる、米作りには全面的に参画する、などの提案をした。

 女優で3歳児の母でもある藤吉久美子さんは「子どもに『いただきます』を言うことをしつけていながら、自分はどうかと振り返る。若者に正しい食生活を身につけさせるには親、大人の食がしっかりできなければならない」と指摘した。

 中食産業を代表して小林さんはコンビニ弁当のご飯量が平均して、10年前の250グラムから235グラムに減少していると報告。若者の日本型食生活の回復のために、農産物に直接触れる体験や、グリーンツーリズムの振興を提案した。

【2004年10月16日号】