教育家庭新聞・健康号
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13施策を「重点プラン」に
都立学校における健康づくり推進計画
  思春期の心の健康、性感染症や薬物乱用など今を生きる子どもが直面する問題や危険は著しい。そんな社会状況の下、東京都教育委員会は2月10日、「都立学校における健康づくり推進計画」の策定を発表した。これはヘルスプロモーションの理念に沿い、諮問機関である東京都学校保健審議会の答申を受けたもので、児童・生徒の健康づくり指標(10の健康テーマと31の指標)について、その数値目標を達成するために教育委員会や都立学校の具体的な取り組みに、学校、家庭、地域が一体となって推進していくことを目的としている。計画期間は16年度から22年度までの7年間。19年度までを前期計画として、前期末年度に実態調査を実施、前期計画の総括的評価を行い、後期計画に反映していく−としている。

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産婦人科絵派遣も−
  都医師会と連携 思春期健康相談で

  この計画は「健康づくり体制の構築」「健康づくり推進のための支援」「児童・生徒の健康課題に対する環境整備」「都立学校における健康教育の推進」の4つの方向性を施策の柱とし、具体的な19施策のうち13施策を「重点プラン」と位置づけ、「都立学校における実効性のある取組の推進」「児童・生徒の主体的な取組の推進」「学校・家庭・地域との協働体制の確立」を目指す。

 重点プランは、1学校保健評価システムの導入2健康ノート(仮称)の活用3健康づくり実践校の認証4学校保健・地域保健連絡会(仮称)の設置5健康づくりフォーラムの共同開催6専門医による学校相談活動の実施7室内化学物質対策の充実8実践力を育む健康教育の推進9運動・体力づくりの推進10食に関する指導の推進11薬物乱用防止教育の推進12青少年健康危険行動調査の実施13子育て理解教育の推進

■H18年本格実施に向け
 このうち、重点プラン6の内容は、「精神科医による学校相談活動の実施」と「産婦人科医による学校相談活動の実施」。
 「精神科医による学校相談活動の実施」は、平成15年度、文科省から委嘱の健康相談支援体制整備事業(現学校・地域保健連携推進事業)を継続するもので、現在、千代田区と旧第9学区の一部をモデル地区として実施しているものを、17年度には旧第9学区全域に拡大、18年度より都内で広域的に事業展開する。

 「産婦人科医による学校相談活動の実施」は、16年度から思春期健康相談モデル事業として東京都医師会が実施している。それを18年度より都教育委員会の取組とするとして、都立高校を対象にモデル校を設定、産婦人科医を派遣して学校において具体的な相談支援および健康教育の支援を行うなど各学校の実態に即した事業の方法を検討・展開、また、地域の産婦人科医と学校との連携を図り、生徒の健康問題の改善を目指す。今年度は東京都医師会において都教育委員会、福祉保健局、東京産婦人科医会、養護教諭研究団体、保健体育教諭等を構成員に連絡協議会を設置、区部1校、市部1校をモデル校に産婦人科領域の健康相談活動および性感染などの健康教育の支援をしている。今後は、教職員の研修なども検討する。

■現場が求める専門医
 15年度に都が行った都立高校における健康相談活動の実態調査によると、対象校数294校のうち回答を得られた292校で、「心に関わると考えられる問題を抱えた生徒がいるか」という質問に、「不登校」66・4%、「保健室登校」20・2%、「摂食障害」38%、「精神疾患あるいは心身症」65・1%、「自傷行為」49%。「心の健康問題のために養護教諭が継続支援している事例」のある割合は、84・9%だった。また、連携すべき医療機関としては、「精神科・神経科」129件についで「産婦人科・レディースクリニック」が74件と2番目に多い。

 産婦人科医の健康相談活動は、性感染症や妊娠問題に限らず、「生理痛は激しい痛みが伴うのが当然だと思っていた」などの生理や性徴に関する問題にも身体的精神的に対応するものとして期待されている。

【2005年3月19日号】


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