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学校給食に地産地消
消費者と生産者の顔見える関係を

農林水産省 生産局 技術普及課  生産専門官 漆間利明氏

  平成20年度の我が国の食料自給率は41%。平成19年度に比べわずか1%の上昇に留まっている。世界の食料需給が逼迫する恐れのある今、この数字はあまりにも頼りないといえる。食料自給率を高めるのに有効な手段の一つが地産地消。つまり地域で生産された農産物を地域で消費しようとする取組である。

もちろん地産地消には他にもさまざまなメリットがあり、現在多岐にわたる組織により推進されている。一般家庭にもだいぶ浸透してきた考え方ではないだろうか。地産地消の取組の一環として学校給食への地場産物の導入も進められている。子どもたちの健康を守り、食育の一助ともなるこの取組について、伺った。(レポート/中 由里)

農林水産省 生産局
技術普及課生産専門官
漆間利明さん

―学校給食における地場産物の利用拡大と国の取り組みについて
 平成18年に食育基本法に基づき策定された食育推進基本計画に盛り込まれています。具体的には学校給食において都道府県単位での地場産物を使用する割合の増加を目標とし、平成16年度に全国平均で21%となっている割合(食材数ベース。都道府県平均)を、22年度までに30%以上とすることを目指しています。また地産地消を進めていくために、生産者団体などと連携し、学校給食における地場産物の活用の推進や地域の農業者や農産物、畜産物などに関する情報を子どもたちに伝える取り組みも促進することとしています。

―地産地消のメリットはなんですか?
 学校給食に限らず、地産地消には消費者にとってさまざまなメリットがあります。まず、地域の生産者と消費者の結びつきが強化されること。いわゆる「顔が見える」関係を築くことで、生産状況も確かめられ、また、新鮮な農産物を食生活に取り入れることができます。また、消費者と生産者との交流によって、「食」や「農」への理解が深まり、地域の食文化の継承にもつながります。子どもたちにとっては、まさに食育の大切な機会となり、さまざまな学習の機会としても展開することが可能ではないでしょうか。

 一方生産者側にとってもメリットがあります。まず、全国で約5千億円の食材需要がある学校給食に対する国産の供給を拡大できるという点です。また、あらかじめ決まった出荷先へ決まった量を出荷できるので、包装資材や手間が省けるほか、流通コストの節約にもつながります。さらに地域住民や子どもたちの「食」や「農」への理解や愛着を深めることができると考えられます。

 ―学校給食で地場産物の利用を拡大するための体制づくりとは?
 学校側で方針を立てるときの実情として、「地域でどのような作物がどの時期に生産されているのかわからない」、「農産物を供給してくれるルートを持っていない」、との声を聞きます。これらの課題をクリアし、実際に地産地消給食を実践するには、その学校や地域の実情に合った体制作りをすることが必要です。栄養教諭・職員の努力だけでは難しい場合もあります。学校給食者関係者と生産者、農業者団体などでの推進体制を作り、学校給食での地場産物の利用の方針を明確にすることが必要です。

 学校側には衛生管理上のルールがあって、生鮮食材は、原則として当日の朝に搬入することとなっており、仕入れた食材は、その日のうちに、短時間に大量に調理をしなければならないという事情があります。また給食調理の特性から一定の規格の作物を求める場合が多いようです。一方、生産者側も天候などに左右されるため、決まった量の納入や搬入が負担となる場合があるなどの課題があります。生産者と消費者が話し合い、理解し合う場を作ることが最も大切です。

地域・学校独自の体制づくりが必要
 また、農産物の安定供給を可能とする体制も大切です。これまでの事例からは、生産者が直接調理場へ納入するケースと農協や直売所、流通業者などが間に入るケースがあります。大型の調理場では求められるロットが大きくなるので、生産の組織化やコーディネートをする組織を置くことも考えられます。

また事情によっては代金決済が負担になる場合もありますので、行政や普及機関が調整を担うほか、農協等が代金決裁や調整を行うということもあります。すべての地域で同じ体制を取る必要はなく、地域と学校の事情によって、それぞれに独自の体制作りをすることが、取組を継続させるために必要と考えます。

―農林水産省が給食における地産地消の推進のために行っていることは?
 取組を活性化するイベントの一つとしては、地産地消給食等メニューコンテストを行っています。これは学校給食のみならず社員食堂等のメニューも対象です。昨年が第1回で、学校給食では茨城県の大洗町学校栄養士会が、水産業が盛んな町の特徴を生かしたメニューで文部科学大臣賞を受賞しました。

 もう一つは「地産地消の仕事人」選定で、これも本年度が2回目です。「地産地消の仕事人」とは、地場産物の安定供給体制の構築など、地域の農林産物の生産、販売、消費をつなぐ中心的な役割を果たし、今後各地の地産地消の発展のために活躍が期待される人のことです。今年はすでに、都道府県などの推薦により、41人の方々が選定されています。学校給食にかかわる方としては、栄養教諭、学校栄養職員、JA、生産者、直売施設や産直センターの代表者、フードコーディネーターなど、さまざまな分野、立場の方が選定され、学校給食における地産地消の推進ためには多岐にわたる方々の協力が必要だと考えています。

 また、地域での多様な取組を支援するため、農林水産省の事業として「学校給食地場産農産物利用拡大事業」を創設しました。
 この事業は、学校給食関係者と生産者などの連携運動の実施に伴う経費、地場農畜産物利用拡大献立を導入・実証した場合の原材料費、冷凍・加工食品の試作・開発の費用、新たな集荷・配送・搬入体制の構築、加工の実施などに対し平成21・22年度の2か年に限り助成を行うものです。給食に地場産物を使用する割合を平成22年度までに30%以上とするという目標の達成にも資するものとして、本事業により、地域の具体的な取組を支援していきます。

【2009年11月21日号】