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時代に対応した養教を

全国養護教諭連絡協議会

多数の養護教諭が集まった

第15回研究協議会を開催

 学校保健法の改正や学校保健安全法の施行により、子どもたちの健康状態の把握や必要な指導等が「保健指導」として位置付けられた。そうした背景を受け、時代の変化に対応した養護教諭の役割を追究すべく、全国養護教諭連絡協議会主催の「第15回研究協議会」が、2月26日、東京・港区のメルパルクホールで開催され、養護教諭をはじめとする教育関係者が全国から集まった。

 

宇津木妙子氏

 

特別講演 宇津木妙子氏 良さを見つけ認める
 特別講演では元オリンピック女子ソフトボール監督の宇津木妙子氏が「夢と人生」をテーマに語った。「自分が夢を追い続けることができるのは、まだ夢を達成できていないから」と語る宇津木氏は、「子どもたちがどんな夢を抱いているか知っていますか」と会場の先生方に問いかけた。
 ユニチカ時代に寮母を体験した宇津木氏は、多くの人と向かい合う中で「人間は誰しも自分を認めてほしいと思っている」ことが分かったという。だから欠点ではなく、その人の良いところを見つけて認めてあげるのが大事だと話す。
 午後からは、文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課 健康教育企画室教育調査官の采女智津江氏が、「学校保健安全法等から見る養護教諭の役割」について講演。平成20年1月の中教審答申で養護教諭をはじめとする学校保健関係者の役割が明確化されたことや、学校保健法の一部改正により、学校環境衛生基準が学校保健安全法に明確に位置付けられたことなどが紹介された。

熊本市立桜木小学校の
桑田奈津子養護教諭

フォーラム・校長・薬剤師・養教  不登校・保健室 登校ゼロへ

 また、フォーラムでは愛知教育大学教授の後藤ひとみ氏がコーディネーターとなり、校長、学校薬剤師、養護教諭のシンポジストから、教育現場での実践が語られた。

校長の立場から 学校保健委員会 中核に推進を

 群馬県高崎市立六郷小学校校長の山口堅二氏は、「学校保健委員会を中核に健康教育を推進する」などを基本方針に据え、学校運営を行っている。年5回開催している学校保健委員会で話し合った内容は、保健委員が各教室を訪問して報告するとともに家庭でも話し合ってもらう。こうした活動により、日々の欠席者は10名前後、不登校・保健室登校児童はゼロに抑えられているという。

学校薬剤師の立場から 学校との繋がり 養護教諭が重要

 静岡市立城内中学校学校薬剤師の秋山欣三氏は、養護教諭との連携の重要性を訴えた。学校薬剤師の役割として薬物乱用防止教育や医薬品などの管理があげられるが、こうした活動は、学校薬剤師一人でできるものではなく、養護教諭が学校との重要な繋がり手になるとしている。

養護教諭の立場から

 熊本市立桜木小学校養護教諭の桑田奈津子氏は、授業での保健指導や保健学習の事例を紹介した。2年生の保健指導では、「まほうの言葉」として、冷たい言葉ではなく、温かい言葉をかけてあげることが対人関係において大切だと児童に理解させた。
 また、5年生の保健学習で、パペットに宛てた手紙を書かせたところ、友人関係で悩んでいることが分かり、担任と協力し、個別指導を進めた結果、問題の解決が図れたという。



【2010年3月20日号】