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全ての子どもたちに門戸の開放を

全国私立保育園連盟 子ども・子育てシンポジウム開催

シンポジウムの様子
シンポジウムの様子

 全国で7100園以上の私立の認可保育園が加盟する、(社)全国私立保育園連盟は、4月26日、子ども・子育てシンポジウム「あなたは安心して子どもを生み育てられますか〜愛する子どもたちと日本の未来へ向けて〜」を都内で開催。仙谷由人内閣府特命担当大臣(国家戦略担当)による基調講演と、シンポジウムが行われ、全ての子どもが産み育てられる環境が整備され、健やかに成長できる社会を願って意見が交わされた。


 黒川恭眞会長は、あいさつのなかで「全ての子どもたちに門戸を開放すること、財源の確保、保育の質を確保していくこと、この3つのキーワードを中心に本日は話し合っていきます」とシンポジウムの目的を説明。
 基調講演を務めた仙谷由人大臣は、まず、自身の幼少期について、教師として働く母を見ながら、祖母に育てられた記憶を辿り、今の子どもたち、働く女性を取り巻く状況が変わらない日本の状況を懸念し、「日本以外のほとんどの国が、女性が大臣クラス、部長、課長などについています」と、この状況に危機感を持つ必要性を説いた。

仙谷由人内閣府特命担当大臣
仙谷由人内閣府特命担当大臣が講演。国の方針を述べた。

個々で情報を受ける 社会の問題性を指摘

  そして、家庭の広さや構成、通学・通園の交通事情を含め、子どもたちを取り巻く環境の大きな変化を指摘し、「同世代すら個々がバラバラに情報を受け取る社会になってきていることが大問題です」と述べ、「生きる力」を養うためには、子ども時代にミニ社会のなかで育てていくことを意識的にしていく必要があることを語る。
また、人づくり戦略の一環として、子育ての問題を位置づける必要があり、そのことが、女性の世界で多い、専門的な資格がありながらも保育環境が整っていないために子どもを預けられない状況を打破するためにも、国と市町村が多様な保育サービスを後押しする重要性、現場にニーズにあった選択ができないか、そのためには子ども家庭省(庁)を作ることを含め、今後国に問題提起していくことを述べた。
最後に仙谷大臣は「現場の皆さんの本音をぶつけてください。官は開かれなければなりません。その決心でこの問題に取り組んでまいります」と決意を固めた。

シンポジウム

  シンポジウムは、白梅学園大学学長の汐見稔幸氏をコーディネーターに、「新たな制度構築を見据えて」と題し、日本労働組合総連合会総合政策局長の中島圭子氏、(株)資生堂人事部ダイバーシティG事業所内保育所責任者の安藤哲男氏、保護者の矢野尚子氏、同連盟常務理事の木原克美氏が意見を述べた。

子ども・子育ての財源のシステム化を

  中島氏は、今年1月29日に閣議決定された「子ども・子育てビジョン」を受け、子どもが主人公となる(チルドレン・ファースト)の実現のために、「子育て基金(仮称)」構想を提案。
この基金は、子ども・子育て関係の財源を統合することで、確実にその財源が子ども・子育てに回るシステムを作ることをイメージしている。

ワーク・ライフ・ バランスの支援

 安藤氏は、資生堂が働き方の見直しやワーク・ライフ・バランスの実現を目指して事業所内に設立した保育所「カンガルーム汐留」について説明。今年4月現在、22人の常時保育を行っている同保育所は、同社社員だけではなく、汐留近隣の他企業にも開放しているのが特長。
昼休みを利用した保育イベントを実施することで、男性社員の育児参加も促進している。所内にはインターネットカメラが設置されており、遠くに住む祖父母が孫の様子を見ることで、話し合う機会ともなっている。
利用者は、園庭がないため外遊びの不安はあるものの「子どもがいつも近くにいるので安心」「迎えの時間がないので仕事に集中できる」「通勤時間は子どもとの大切なコミュニケーション時間」と肯定的な意見が多くあがっている。

 



【2010年5月15日号】