【世界学長会議を記念開催】城西国際大学 創立20周年に

世界の転換期における大学の役割と人材育成

城西国際大学

第一部のパネルディスカッション

 学校法人城西大学(水田宗子理事長)は、城西国際大学の創立20周年を記念して、4月29日に東京紀尾井町キャンパスで「世界学長会議」を開催。城西国際大学は国際人文学部、観光学部など世界に誇れる学生を輩出する一方、今年度からは看護学部をスタートさせ地域にも世界にも通じる人材の育成に力を入れている。この日は、海外の姉妹校12校に城西国際大学と城西大学を加えた14大学の学長らが、「世界の転換期における大学の役割と人材育成」をテーマに、2部構成のパネルディスカッションでそれぞれの大学の取り組みについて報告した。

城西国際大学

学校法人城西大学
水田宗子理事長

 会議は水田宗子理事長によるあいさつに始まり、水田理事長は「本日の会議にご参加いただいた先生方は国際的な人材の育成に力を尽くしております。私どもが抱える課題は、世界の国々や海外の大学が共有する課題であり、今回は意見を交換し合う貴重な機会であります」と述べた。

海外で活躍できるスキルと新時代の教養教育を

 第1部では、まず城西国際大学の柳澤伯夫学長が、明治維新以降の日本の近代高等教育の流れについて発表。1940年に4%だった大学進学率は、2009年には50・2%となり、大学全入の時代となった。そうしたなか、経済界からは大学教育に対して2つの要望が上がっているという。

  「一つ目は海外で活躍できる人材を育ててほしいというものです。そこで、語学力、異文化コミュニケーション力などの能力が求められます。二つ目は深く広く物事を考える人間を育てるため、教養教育が必要だとする声です。新しい時代の教養教育については、本日ご参加いただいた先生方とコラボレーションしながら生み出していければと考えます」

  さらに、第1部のセッションではセント・イシュトバン大学(ハンガリー)、カモーソン・カレッジ(カナダ)、ブスティマ大学(ウガンダ)、韓国外国語大学(韓国)、ケルン大学(ドイツ)、東北大学(中国)の6大学が各大学の特色を発表した。

  カモーソン・カレッジのキャサリン・ローリン学長は、今後は科学、数学、コンピュータサイエンス、エンジニアリングなどの分野の卒業生数を増やしていく必要があり、その人材は国の経済を支える存在となると考える。

  また、少数派である原住民や移民、障がい者に対して、高等教育への参加を促すために特別なプログラムを打ち立てているほか、社会人や夜間学生が学位や資格を取得しやすい環境の構築へ向けて、離れた場所でも教育が受けられる手段が必要だと述べた。

  また、ブスティマ大学のメアリ・J・N・オクワコル学長は、アフリカには差別や格差問題

  そこで北と南、すなわち先進国と途上国の連携や、開発途上国同士の連携(南南協力)を通じて、グローバル教育を強化することが求められている。

  さらに、東北大学の王福利副学長は、大学間の交流は国際的なビジョンを持った優れた人材を育成するために重要と考えている。同大学では、中国が経済成長の持続に向けて進めている第12次五か年計画(2011年〜2015年)の期間に優れた人材をこれまで以上に海外に送り出す用意を整え、学生と教員が海外に行くことを奨励する。

  また、東北大学には国際交流のための学部があり、留学生の教育に重点を置く。大学の最高のリソースを留学生に配分することで、優れた教育を行っているのだという。

教職員の国際化により 高等教育の可能性広げる

 「グローバル教育への取り組み」とその他について話し合われた第2部では、冒頭に城西大学の森本雍憲学長が、日本が抱える課題について発表。グローバルな人材に必要な要素として、「日本を理解して愛する心」「異なった文化や価値観を共有化し、広い視野を持って受け入れる寛容さ」「コミュニケーション能力」の3点を挙げ、次のように述べた。

  「日本では1991年の大学設置基準の大綱化以降、学部教育充実の名のもとに教養教育の軽視が危惧される状況にあります。さらに、グローバリゼーションが進行する中、多くの大学が日本人の学生と日本人の教職員のみで構成されており、そのことが日本の高等教育の可能性を狭めるのではないかと指摘されています。そうした状況を打破するためにも留学生の増加、授業の多言語化、教職員の国際化、学生交換プログラムの強化が求められます」

  森本学長に続いて、海外から東西大学(韓国)、天津外国語大学(中国)、ブダペスト商科大学(ハンガリー)、北カレリア応用科学大学(フィンランド)、淡江大学(台湾)、トゥンク・アブドゥル・ラーマン大学(マレーシア)の6大学の学長らが発表。

  東西大学は、4つの学部と2つのプログラムで全て英語による授業が行われており、1万1000人以上の学生のうち600人は30か国からの留学生だ。

  また、アメリカと中国への留学プログラムを実施しており、アメリカではホープ国際大学にある東西大学の海外キャンパスで1年間、中国では中南財経政法大学で1学期間学んでいる、と張済国総長は述べる。

  ブダペスト商科大学のエヴァ・シャンドル=クリスト学長は、高等教育には教育と研究という2つの基本的な役割のほかに、社会の要請に応えるという第3の大事な役割があると話す。また、日本、韓国、中国のような極東の国では、経済の成長とともに知識の重要性も指摘されるようになったという。

  ヨーロッパでは大学の国際競争力を高めるために29の国々が統一された大学圏を作ることで合意したボローニャプロセスの導入により、21世紀の最初の10年間でヨーロッパ高等教育圏が作られた。その結果、学生の移動性が増し、非ヨーロッパ圏の高等教育機関との国際的な共同研究が促進された。

  淡江大学のタイ・ワン‐チン副学長は、教育の国際化についてクリエイティビティや相互性などがキーワードだと述べる。
同大学では多くの海外の大学と提携したプログラムを実施しており、提携数は大学が評価を受ける際に重要な基準になると考えている。大学の世界ランキングが上がることで、地元や海外での大学間の連携や、他の主要大学と学生や教員を交換し合う機会が増えることが期待されるという。

 

【2012年5月21日号】

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