社会全体の活動に―子どもの読書活動推進フォーラム開催

 「子ども読書の日」である4月23日、国立オリンピック記念青少年総合センターで「子どもの読書活動推進フォーラム」が行われ、文部科学大臣表彰、基調講演、事例発表が行われた(主催:文部科学省、(独)国立青少年教育振興機構)。フォーラムは、国民の間に広く子どもの読書活動について関心と理解を深めてもらうとともに、子どもが積極的に読書活動を行う意欲を高めることを目的に開催されたもの。学校、図書館、団体・個人241校(館・団体・名)が表彰を受けた。

137校 47図書館 57団体・個人に文部科学大臣表彰を授与
"本好き"を育てよう

子どもの読書活動推進フォーラム

開会式では代表の学校、図書館、団体、個人へ
義家弘介・文部科学大臣政務官から表彰状が授与された

 開会に際し、主催者を代表してあいさつした文部科学大臣政務官の義家弘介氏は、読書は増加傾向にあるものの、不読者は小学校で4・5%、中学校で16・4%、高校で53・2%と、学校段階で差があると述べる。また、読書推進に関する基本計画が町村で遅れていることを懸念し、「社会全体で取り組みを進めていくために、読書活動の意義、重要性を認識し普及啓発を図り、一人でも多くの子どもがすばらしい本と出会い、感動してほしい」とあいさつ。

  また、来賓として国立国会図書館国際子ども図書館の坂田和光館長、子どもの未来を考える議員連盟(平成12年10月に「国際子ども図書館設立推進議員連盟」から名称変更)の河村建夫衆議院議員が登壇。

  河村議員は、「若い頃の蓄積が後に生きてくる。しっかり読むことを奨励して本好きになってもらいたい」と述べた。
続いて行われた文部科学大臣表彰では、優秀実践校137校、優秀実践図書館47館、優秀実践団体・個人57団体(名)を代表して、大分県由布市立西庄内小学校、三重県立宇治山田商業高等学校、長野県山形村図書館、山形県いっちゃん会が表彰された。

基調講演に島田洋七氏 本は人間の感覚や視野を広げる

  基調講演は、漫才師でありながら講演や執筆活動に精力的に取り組み、著書「佐賀のがばいばあちゃん」が、日本のみならず世界にも知られている、島田洋七氏が講師を務めた。

  島田氏の人生は、浮いては落ちの連続。それでも最後まで諦めずに人生を歩んできた。著書「佐賀のがばいばあちゃん」は、仕事がほとんどなかった時に長期で温泉宿に宿泊していた際、板長さんとの会話から生まれた。

  東京に戻りビートたけし氏のアドバイスを受け、それを小説にしてみようと思ったが、出版社に取り合ってもらえず自費出版。講演会で地道に売り、今度はタイトルを変えた。その後、2万冊売ったあたりでようやく出版社から声がかったのだという。

  「ばあちゃんのすごい置き土産です。ばあちゃんは、勉強しろとは言わなかったが、本を読めと言っていた。本は人間の感覚や視野を広げてくれる。そして健康な老人になるためには、声を出して本を読むことが一番。図書館には声を出しても良い部屋を作ってほしい。本があるところは楽しく明るくしなければ」と話を締めくくった。

 

学校・家庭・地域の輪で 充実した読書活動を

 4月23日に都内で行われた「子ども読書の日」イベント「子どもの読書活動推進フォーラム」では、137の学校、47の図書館、57の団体・個人が文部科学大臣表彰を受賞。事例発表では、大分県由布市立西庄内小学校、三重県立宇治山田商業高校、長野県山形村図書館、山形県いっちゃん会が、それぞれの活動を紹介し、その工夫などの情報を参加者と共有した。

■ 明確な目標設定で "量"から"質"の活動を―大分・由布市立西庄内小学校

子どもの読書活動推進フォーラム

西庄内小学校では4つの目標を
決め活動を充実させている

子どもの読書活動推進フォーラム

宇治山田商高は校務分掌に位置づけ、万全の体制

 平成23年度には「本に親しみ、生き生きと学ぶ子どもの育成」を研究主題に、読書活動について学校をあげて取り組んだ。そこで明らかになった課題は、「図書館活用授業の充実」「進んで調べ、自信を持って発表」「量から質への転換」「家庭・地域との連携・協力」の4つ。

  そこで、読書活動の充実を図る取り組みについては、「読書の楽しさを知り、進んで読書する子」「言葉を手がかりに豊かに想像する子」を、学校図書館を活用した授業づくりについては、「自分の考えを自分の言葉で表現する子」「必要な情報を取捨選択して活用できる子」を、「目指す子ども像」と掲げた。

読書月間は年3回 全職員が関わる

  読書活動の充実を図るために、図書館入り口は季節ごとに雰囲気を変え、「先生おすすめの本」コーナーの設置、児童が見つけた虫などを図鑑とともに展示、教科書関連図書を優先購入し背ラベルにシールを貼る、全職員によるブックトーク、年3回の読書月間などを行っている。

  読書指導に関しては、23年度の平均貸出数は一人150冊だが、質を考えるともっと読み広げが必要と考え、量から質への転換を図った。

年間1人1回の研究授業を実施

  また、学校図書館を活用した授業づくりを推進するために、年間一人1回の研究授業実施とその活性化を目指し、単元プランの構想を明確にし、司書との連携を重視した。

  その結果、読書への興味・関心が高まり、本好きな子が増え、学年相当の読書ができている。また、23年度前半までの貸出傾向は、日本十進分類法の7・9類に偏りが見られていたが、取り組みにより24年度はそれ以外の分類の貸出冊数が大幅に増加した。

  今後は、方法や評価を明確にしながら質の向上を目指すという。

■ 学校生活と読書活動を学校図書館が"応援"―三重県立宇治山田商業高校

 「学校生活と読書活動を『応援』する学校図書館」と掲げ、検定による資格取得と部活動の充実を目標とする生徒の生活と学びを応援している。

  同校には、商業科、情報処理科、国際科の3科があり、637名の生徒が在籍。学校図書館については、校内分掌による学校図書館計画と運営を行っており、主任1名(専任・常駐)、係教員4名(うち3名常駐)、学校司書1名(専任・常駐)の体制で。

どの生徒も楽しめる 図書館イベント開催

  生徒へ対する読書活動充実の取り組みは、まず、各クラス1時間の新入生オリエンテーションで利用指導とブックトークを行う。図書館主催のイベントも充実させ、本好きの生徒も、静かに本を読むのが苦手という生徒も両方楽しめるように、軽音楽部が図書館でイベントを行ったり、演劇部による朗読劇、司書のブックトークを実施。

  また、商業高校という特性上検定が多いため、「検定ラッシュを乗り越える本」など、生徒の関心に応じた展示を月3か所更新。図書の貸出冊数は右肩上がりで昨年度は1万6848冊で、一人平均24・8冊となる。これは県平均の約5倍だ。

学校司書が授業支援 調べ学習の質を向上

  そして授業実践の取り組みでは、学校司書による授業支援で調べ学習の質を高めている。プレゼンテーション(英語)、スピーチ(国語)、ディベート(商業)と様々な科目で利用され、平成23年度には県の「新学習指導要領に対応した授業実践研究事業」の指定を受け、大学教授や大学生との交流も図られた。

 また、学校図書館の充実は地域の読書活動推進の原動力と考え、学校司書による地域研修会なども担当している。

【2013年5月20日号】

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