【食育実践】台東区 蔵前小学校

教科の中で自然に"食育" "継続"することで校内に浸透

食育実践
2年生の授業「なんでも食べよう」は
パネルシアターを使用し、
考えさせながら行った

 6月の食育月間を中心に、各校で様々な実践が行われた。特に小学校は、発達段階に合わせた食育活動が重要だ。東京都台東区は平成21年度に東京都教育委員会より「食育研究指定地区」の指定を受け、蔵前小学校(白井正之校長)には、同年度より河部節代栄養教諭(写真左)が配置されている。

■食育の種まき期

  「食育月間だから特別にというわけではありませんが、6月は新年度が始まり学校が落ち着いてくる時期ですので、食育の"種まきの時期"と捉えています。さらに学校公開で保護者や地域の方にも見ていただく期間ですので、5月から7月にかけては、食育を盛り込んだ授業が充実しています」

■担任と栄養教諭の連携

  まず1、2年生は学級活動の時間に、学校給食の食材を赤・黄・緑と3つの栄養素にわけてそのバランスについて学習する。2年生は1年生でも学んでいるので、これを深める。

 7月3日に2年3組では、1年生で習った赤・黄・緑の3つの分類を発展させた「なんでも食べよう」の授業(学活)が行われた。パネルシアターで、今日と明日の給食について使用されている材料を赤・黄・緑に分類していくのだが、児童を悩ませたのが「ごま」「あぶらあげ」「みそ」だ。

 河部栄養教諭が「ごまをすり鉢ですっていくと、あぶらが出ませんか」と投げかけると、児童からはすかさず「黄色」と声があがる。パネルシアターでは、大豆からとうふになり、あぶらあげが出来るまでの過程をイラストで提示した。

 担任の石川一葉教諭(写真右)は1年時に、『へんしんだいずくん』という本を児童に読んでいたので、その話をすることで理解が深まった。担任ならではの"技"だろう。

授業の最後には給食の献立表を3色で色分けしていることを伝え、授業をまとめたプリントを保護者とともに復習するように促し、家庭も上手に巻き込んでいる。

■教科との関連

  3年生では、保健体育の保健領域で食育を学ぶ。起床時間、朝食、排便の有無、休み時間の運動、などを「健康生活カード」に平日分書き記す。それを点数化し、「食事」「生活」「運動」の中で自分の課題を見つけ、自らが目標を考え実行するまでが学習だ。

  4年生は、メーカーの協力によるわかめの授業を総合的な学習の時間で実施。都道府県について授業でふれるので、わかめの収穫地と関連づけて学習した。

  5年生も、メーカーの協力を得て家庭科でマヨネーズについて調理実習を含めて実施。河部栄養教諭は、手作りマヨネーズは魅力的な内容だと思っていたが、卵のサルモネラ菌が心配の種だった。今回、担任の熱意もあり管理職と相談し、無菌卵を使うことで実施にこぎつけた。

■担任の熱意を形に

  6年生は、「調理をしっかり身に付けてほしい」という担任の思いを家庭科で実現。念入りな予習を基にペーパーテストを実施し、その後調理実習に臨んだ。予習やテストの成果があり、きびきびと児童が動き家庭科のレベルが上がったという。

  年間計画に当然のように食育が組み込まれ栄養教諭が活躍している。「継続することで浸透しています。食育をやりたいけれど時間がもらえないというのではなく、自然に教科の中に食育を組み込んでいくことが大切だと実感しています」と河部教諭は話す。

【2013年7月15日号】

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