就活前に“自己管理”学ぶ 戸板女子短大で「子宮内膜症」の講義

大学の保健室と共に知識を深める啓発を―JECIE

戸板女子短大で「子宮内膜症」の講義
教職員あわせて約350名が受講した

 日本におよそ800万人から1000万人いるとされる「月経困難症」。それが進行することでおきる「子宮内膜症」は、妊娠・出産といった女性の一生に影響する。そのため、早い段階でその知識を深めてもらうことが大切。日本子宮内膜症啓発会議は、昨年度より戸板女子短期大学(東京都港区)の協力を得て、大学の保健室を巻き込んだ啓発活動を行っている。11月7日には同短大の1年生と教職員約350名を対象に講義が行われた。

 今回の講義は、就職活動を目前とした1年生に考えるきっかけにしてほしいと、10月27日に開催された学園祭「戸板祭」で行われたアンケート結果をもとに、「戸板ゼミナール」(必修授業)の1コマで行われた。

  司会は同会議の活動に参加している横浜市立大4年の新井涼子さん、講義は、サノフィ(株)健康保険組合健康推進センター看護師の瀬戸亜矢子氏、日本医科大学産婦人科教授で日本子宮内膜症啓発会議(JECIE)実行委員の明楽重夫氏、同短大保健室の看護師松原雅枝氏の3名が務めた。

セルフコントロールは 女性のキャリアに影響

  瀬戸氏は、成長する社会の中で女性が様々な役割を求められていること、その中で体調を含めたセルフコントロールは当然で、それはキャリアにも影響することを指摘。なんでも話せる主治医を作ること、基礎体温をつけて自分の身体を知ることなど「身近なことに取り組んでほしい」と述べる。

晩産化・少産化で増加 フォローアップが重要

  続いて婦人科医の明楽氏は、子宮内膜症の症状が起こる割合は月経のある女性の5〜10%と決して低い割合ではなく、むしろ晩産化・少産化により増加していることなどを説く。

  子宮内膜症は、本来子宮の内側にある内膜組織が卵巣やお腹の中に発生するもので、対処せずにいることで、卵巣チョコレート嚢胞や、がんに発展する可能性がある。薬物治療、ホルモン治療、手術など治療方法はあるが、再発も多い。

  明楽氏は「ライフスタイルに合わせたフォローアップが大切で、自己管理が重要」と学生らに話した。

高校で受診する 意識の高い学生も 早期の診察を奨励

  最後に松原氏から、生理痛による保健室の利用状況などが説明された。5、6年程前は保健室を利用する学生の10%が生理痛だったが、近年は自己流の鎮痛剤の服用で減っているという。一方で鎮痛剤がきかない、経血の量が増えたという学生も多いのが現状。

  「保健室では市販薬で対応する前に産婦人科へと話しているが、最近は高校生の頃にお母様と一緒に産婦人科へ行ったという学生も多く、意識が変わってきたと感じている」と松原氏は話した。

【2013年11月18日号】

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