連載:親子で楽しむ日々の新聞活用 44回

死亡記事からわかること(1)ー全国新聞教育研究協議会顧問・鈴木 伸男 

掲載頁や見出し・写真の有無が社会への影響力を表す

新聞の社会面を広げると紙面の下段に、氏名の右に黒い線が引かれた「べた記事」(1段の小さな記事)が目に入ります。線が引かれていることから「棒記事」と呼ばれていますが、見出しのないことが多いので気がつかない人もいるでしょう。

このべた記事は、その人の業績・実績・活躍、肩書、知名度、社会への影響度などによって、各新聞社はひそかにランク付けをしています。影響力は生前よりも亡くなったことによる影響力(社会がダメージを受ける)が重視されます。

著名人については、生前からある程度のデータは揃えているはずです。テレビ・映画・劇場などへの露出(出演)の多い芸能人は大きく扱われますし、民間人より官(上級公務員)の方に重きが置かれているようです。
さて、この死亡記事ですが扱いの違いによっていくつかに分けられます。

まず、第1面のトップ記事。社会面でも大きく載せ、関連紙面でも取り上げられますし、号外が出される場合もあります。天皇陛下や現職総理大臣はもちろんのことですが、世界的に活躍した文化人・芸術家などで平成10年に亡くなった映画監督の黒沢明さん、平成21年に亡くなった日本画家の平山郁夫さんはこの扱いでした。
次は1面の肩記事(トップ記事に次ぐ扱い)。社会面でも大きく載り、コラムなどでも取り上げられます。文化人、歌手、俳優、映画監督などの場合、雑誌の特集、テレビの追悼番組が組まれることもあります。今年になってからは作家の渡辺淳一さん(5月)や歌手・女優の山口淑子さん(9月)がこの中に入ります。

その次は、第1面の下段に小さく掲載。一部の元国会議員や現職国会議員などです。4番目は社会面に肩記事、3段見出しなどで大きく掲載。最後は社会面でべた記事となります。見出しと写真が付く、写真または見出しが付く、本文のみの3種類があります。

平成26年9月19日の毎日新聞・朝刊には6つの記事があり、亡くなった方の平均年齢は86・3歳。死亡原因は老衰2人で、長寿(高齢化)社会が垣間見られました。妻・子供以外が喪主、葬儀は近親者で営んだ、個人の意思により葬儀・告別式は行わないなど、べた記事は世相や社会の問題などを反映しています。

【2014年10月20日号】

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