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第18回 【教職員のメンタルヘルス】心の悲鳴に耳を傾ける

GW後のメンタルヘルス対策

GW明けに注意したい2つの予防策ポイント

ゴールデンウィークといえば、旅行や帰省など楽しい時間を過ごせる期間というイメージがありますが、体と心をリフレッシュさせるための連休になっていない教員が、相当数いるという実態があります。

そこでGW明けの、教員のメンタルヘルス予防策として、管理職や学年主任の皆様にお願いしたいことを2つ提案します。

連休中の仕事量を把握十分な休息の有無を確認

まず、「動静表」をもとに連休中の各教員の「仕事量」をしっかりと把握してほしいということです。それはなぜでしょうか。

例えば、部活の顧問をしている教員の場合、連休中は部活動の対外試合や公式戦が行われる「かき入れ時」に当たる。連日試合の引率や審判などに駆り出され、気が付いてみると「新年度が始まってから連休が終わるまでの間に一日完全に休めた日はない」という教員が相当数いると聞きます。

しかもそれが新採教員の場合には、4月から教職という未知の世界に入って来て、仕事のやり方もわからず、見通しも立たない、そんな緊張した毎日を送っている上に「休みが取れない」という現実が覆いかぶさり、心身両面での負担となっています。新採教員にとっては初めての経験だらけですので、この現実を「こんなものか」と受け止めることもありますが、転勤1年目の教員にとっては、違った意味で苦しい時期を迎えている場合もあります。

特にベテラン教員ほど、経験の蓄積で学校組織をみる独自の「視点」を持っています。そして、GWの頃には新しい職場の学校運営や生徒指導に関して、これは明らかに「おかしいな」とか「これはないよな」という批判的な視点や「この人とは絶対あわない」「やっていけない」という同僚に対する「違和感」を感じている教員もいるようです。

感じるだけなら問題はありませんが、新しい職場を「冷めた目」でしか見ることができなくなった教員の中には、職場に入り込めない(積極的に関わろうとしない)状態になり、孤立感を強めて休職に至るケースもあります。

親元を離れた教員の様子に注意を払って

次に、GW明けの各教員の様子を注意深く観察してほしいというお願いです。その理由は、「うつ」との関係があるからです。医療機関からの診断で、「うつ傾向」という診断名がつく人の多くは、このGW明けの時期に病態があらわれる場合が多いのです。

そこで、「職員室の担任」といわれる副校長・教頭先生にGW明けにお願いしたいことがあります。特に、就職に際し親元を離れて初めて一人住まいを始めた新採教員や転勤1年目の教員を中心に、普段と異なる変化をキャッチする感性を磨いて頂きたいのです。

観察時のチェックポイントは、▼出勤時間が遅くなっている▼PCに向かいっぱなしで周囲に「忙しいオーラ」を出している▼飲み会や反省会に出席しない▼大丈夫かと聞いたら、大丈夫ですと答える▼朝食欠食▼4月と比べて著しく痩せた▼夕食を職員室にあるお菓子やスナック類で済ませてしまう、などです。

この他にも、この時期に様々な事情で悩んでいる教員たちも立派な「休職予備軍」です。管理職が教員と一緒になって考える形で「ガス抜き」を図ってほしいと思います。GW前後に休職者が多く発生する裏には、前述のような教員各自の事情があり、その兆候は4月当初から始まっています。それだけにこの時期の同僚に対する言葉かけは、今まで以上に「有効」で「意味をもつ」のです。

【2015年4月20日号】

 


執筆=土井一博(どい・かずひろ)日本教職員メンタルヘルスカウンセラー協会理事長、川口市教育委員会学校教職員メンタルヘルスチーフカウンセラー 、順天堂大学国際教養学部客員教授(教職課程)

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