特集:学校保健・健康教育  保健室で守る"心"と"身体"  

子供たちの目の健康を守る

平成26年度の学校保健統計調査によると、裸眼視力0・3未満の中学生は25・0%と4人に1が視力矯正なしでは黒板の文字が見えにくい。コンタクトレンズやメガネの装用人口が増えることで、カラーコンタクトや目の疲れなど、今、様々な問題が起きている。

安易な使用は73%
 カラーCLの使用実態

「目の愛護デー」である10月10日を前に、使い捨てコンタクトレンズ「アキュビュー」を提供するジョンソン・エンド・ジョンソン(株)ビジョン ケアカンパニーは、養護教諭571名(小学校15名、中学校291名、高校265名)に対して行ったコンタクトレンズ(以下、CL)の装用状況についてアンケートを実施し、その結果を発表した。

その結果、CLの適正使用に関する子供たちの認識不足と、学校及び保護者による指導・監督が必要であるという実態が明らかとなった。

特にカラーCLの使用については、「ファッション感覚での安易なカラーCLの使用が増えている」が全体で73・3%、「カラーCLを保護者に相談せずに使っている生徒が多いようだ」が全体で41・9%と、子供たちへ対する知識の啓発と学校・家庭における適切な指導が求められる。

目に直接装用するCLは、心臓ペースメーカー等と同じ「高度管理医療機器」にあたるが、使い方に細心の注意が必要であることを「生徒は認識していると思う」と回答した養護教諭は15・0%と圧倒的に低い。

また、CLの不適切なケアや使用法によりトラブルが起こるリスクを認識している児童・生徒は少なく、装用期間・時間を超えての装用、メガネを持っていないためCLや目の調子が悪くてもCLを装用し続けているケースも多いということがわかった。

酸素と水蒸気量増加
 目を守る「酸素めがめ」

酸素めがねポスター

目と目の周辺の環境に着目した(株)三城は、メガネ周辺に酸素と水蒸気を多く集める「酸素めがね」(5500円税込)を開発。2000本の先行限定で特設サイトmiki‐plusを通じて予約受付を開始した。

「酸素めがね」とは、フレームにコーティングされた光誘起透明膜が光を利用してメガネ周辺に酸素を集め、フレーム周辺の酸素が増えることで相対的に水蒸気量も増加させるもの。吉祥寺森岡眼科の森岡清史院長は「目の周りに酸素と水蒸気を供給することは大変意義がある」と述べている。

平成26年度の学校保健統計調査によると、裸眼視力0・3未満の子供が小学校で8・1%、中学校で25・0%と中学生の4人に1はメガネやコンタクトレンズを装用しないと黒板の文字が見えにくい現状にある。

かつてはテレビの見過ぎや長時間のゲームが視力低下の一因とされていたが、今や携帯電話やスマートフォンが普及し、学校でもPCやタブレットを使用するなど、子供が目を酷使する時間はさらに増加。

視力矯正だけでなく目の環境を考慮することの大切さも、保護者や教員は知っておく必要がある。実証実験の結果、「酸素めがね」の機能のないメガネと比べて、含まれる酸素量に明らかな違いが見られ、水蒸気量は森林浴に近い値になっている。酸素+保湿が眼にやさしい環境を生み出す。

視力変化の激しい子供たちは、コンタクトレンズよりもメガネというケースが多く、その環境を整えることは重要だ。

 

養護教諭必見

先生向けに情報提供

てんかんfor school

てんかんfor school

神経系の病気である「てんかん」は、約100人に1人の割合で発症する。日本に約100万人の患者がいるとされており、学校でも、街でも子供たちは患者と接する機会がある。

だが、てんかんへの偏見は多く、また、急な発作時の対応もあまり知られていないことから、UCBジャパン(株)では、「園・学校の先生方のためのてんかん情報サイト『てんかん for School』」を開設。

病気の発作や学校生活でのQ&A、子供たちに指導するツール、教職員向けの研修用資料、保護者のコミュニケーションツールを紹介しており、校内研修や学校保健委員会などで活用できる。

てんかんfor School=http://www.tenkanfs.jp/

 

専門性・実践力向上を研究する<全養連・研究協議会>

2月19日に東京で開催

全国養護教諭連絡協議会は、学校保健活動をより効果的に推進するために、専門性や実践力のさらなる向上と豊かな保健室経営を目指す養護教諭の姿を追究する「第21回研究協議会」を、2月19日に開催する(共催=公財・日本学校保健会)。

「『時代の変化に対応した養護教諭の役割を追究する』‐専門性の確立と実践力の向上を目指して‐」を主題に、(一社)アスリートソサエティ代表理事の為末大氏による特別講演、文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課健康教育調査官の岩崎信子氏による基調講演、養護教諭の実践を紹介するフォーラムで構成される。

フォーラムは、「養護教諭の専門性を発揮した実践とは」をテーマに、埼玉大学教育学部教授の戸部秀之氏をコーディネーターに4名の養護教諭がシンポジストとして登壇。

「保健管理の事例(高等学校)」は、福島県立大笹生養護学校・小西真希子氏、「危機管理の事例」は、神戸市立なぎさ小学校・片寄理絵氏、「健康相談の事例」は、埼玉県立草加かがやき特別支援学校草加分校・熊木美香氏、「保健室登校の事例」は、三重県松阪市立西中学校・山川永子氏が発表する。

【開催概要】▽日時=平成28年2月19日10時〜16時30分▽会場=メルパルクホール(東京都港区)▽参加費=4500円▽申込み=12月14日〜平成28年1月22日▽申込み・問合せ=06・4799・0150(東武トップツアーズ大阪教育旅行支店)▽詳細=http://www.yougo.jp/

 

【2015年11月16日号】

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