利用が拡がる冷凍めん 本紙調査では72%が利用

(一社)日本冷凍めん協会は、国内の冷凍めん製造企業を対象に調査を実施し、今年4月末に「冷凍麺年間生産食数調査」を発表した。冷凍めんの年間生産食数は業務用(素材)だけで見ると9億7746万食余りで、前年と比較して約1億食増加し、冷凍めんの利用は拡大していると言える。では学校給食における利用状況はどうか。本紙が全国の学校給食共同調理場・給食センター(以下、センター)と、自校方式で調理している都市部の小・中学校に行った調査によると、全体の72・1%で冷凍めんを利用していることがわかった(500件調査票送付、有効回答数104件)。

時間短縮で扱いやすい素材 「調理が簡単」「おいしい」が上位

学校給食における「冷凍めん」の利用について、「利用している」と答えたのは全体で72・1%、センターだけで見ると53%となっている。利用していないセンターは「地元のめん加工業者に委託している」といった声が多くみられた。

最多利用は「うどん」

「利用している」と答えた学校・センターの詳細を見ると、92%の施設で利用されているのが「うどん」。次いで「中華めん」が46・6%。パスタや調理めんの利用はセンターがほとんどで、学校ではほぼなかった。

「その他」として多く上がったのが、「ほうとう」「きしめん」「ちゃんぽん」など、太いために生めんから茹でると時間がかかるものだ。冷凍めんを利用する理由(複数回答)として最も多かったのが「調理の簡便さ」(76%)であることから、冷凍めんを利用することで茹で時間が短縮され、献立にしやすいことが伺える。

冷凍めんを使用した特色ある学校給食献立
はま菜ちゃんたっぷり
豆乳ちゃんぽん
神奈川県横浜市小学校
豆乳ちゃんぽん
冷凍ちゃんぽん麺と、横浜市で収穫された"はま菜ちゃん"を無調整の豆乳スープに入れたもの
じゃじゃ麺 岩手県内給食センター
じゃじゃ麺
中華料理のジャージャー麺は中華麺だが、盛岡の郷土料理「じゃじゃ麺」はうどん麺。冷凍うどんにキュウリ、肉みそ、をのせる(手前左)。店などは麺を食べた後の肉みそに生卵と麺のゆで汁を加えつ食べ方も好まれるので、給食でも卵スープ(手前右)を添えている

「調理の簡便さ」以外の利用理由は、「おいしさ」60%、「安全面」37・3%など。

それらについての記述回答では、調理工程上の理由として「乾めんを下茹でするためには釜が1つ余分に必要だが、冷凍めんは直接調理できる」「茹でる際の湯の汚れが少ない」「茹で時間が短い」など。おいしさに関する理由として「時間が経ってもめんが伸びにくい」「歯ごたえがある」など。安全面については「茹でうどんの場合はそば粉を扱う工場内で作っているケースが多いが、冷凍うどんは別工場で作っているため安心」などの理由が挙げられた。

購入の重視事項はメーカーやマーク

「購入の際に重視していること」(複数回答)は「メーカー名」46・6%、「冷食認定証マーク」32%、「RMKマーク」と「ISO22000等」の基準がともに10・8%。特にセンターでは「産地」へのこだわりが11%で、「郷土料理を作るために県内産」と挙げたケースもあった。

おいしく解凍するコツは1分以内に「ほぐれる」

学校給食の素材として、便利においしく利用されている冷凍めんだが、本紙調査では、大量調理の際の「おいしく解凍するコツ」「解凍する際の湯量や1回の投入量」「解凍した後にくっつかないための処理」などを知りたいなどの質問が複数寄せられた。

日本冷凍めん協会の那須保信専務理事は「調理の規模や設備にもよるので、各調理場で検証して頂く必要があるが、冷凍めんを投入しても大きく湯温が下がらないように、めんの量を調整し、沸騰したたっぷりのお湯で、1分以内でほぐれるのが目安」と話す。

定番から郷土食まで 特色ある献立に貢献

本紙調査では、冷凍めんを使用した人気メニューも尋ねた。

煮込みうどん、カレーうどんといった定番献立のほか「郷土食」も多い。横浜市の「サンマー麺」(中華麺使用、もやしととろみのあるスープが特徴)、三重県の「しっぽく」(けんちん汁にきしめんを入れたもの)、「沖縄ソーキうどん」などがあった。

「大量調理でも可能な幅広い献立を知りたい」など、冷凍めんだからこそ可能になる、様々な献立に期待が寄せられている。

RMK認定冷凍めん

急速凍結でおいしさ保つ

日本冷凍めん協会が認定する「RMK認定冷凍めん」は、急速凍結により茹であげ直後のめん≠フコシがキープされているのが特長だ。

めん≠ノ含まれるグルテンの組織がしっかりしていることでコシがある状態となる。めん≠フ凍結時に氷の結晶が大きいとグルテンの組織は壊れるので、「RMK認定冷凍めん」では、氷の結晶が最も大きくなる温度帯であるマイナス1℃〜マイナス10℃(最大氷結晶生成帯)を一気に通過させて凍結することで氷の結晶を小さくしている。

詳細=www.reitoumen.gr.jp

 

【2016年7月18日号】

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