給食制度の改革 地方から”波”が


 地方から給食制度改革への・のろし・−−札幌市教委では平成11年度から、栄養士の積極的な活用や調理部門の民間委託などを柱とした大規模な給食制度改革に乗り出すことを決めた。これを通じて「家庭での食事への働き掛けを強めると同時に、児童・生徒に生涯を通じて、食教育に関する関心を高めてもらうのが狙い」(同市教委)。

 同市では平成9年に中学校長会会長やPTA協議会副会長、学校給食栄養士会会長ら関係者と北海道教育大学助教授らの専門家からなる「札幌市学校給食運営委員会」に対して、「札幌市における学校給食の今後のあり方について」の提言をまとめるよう委嘱。同委員会では会合を重ねるとともに、他都市の状況を視察するなどして1献立を多様化して生徒が選択できるようにする2食器具を改善する3食堂を確保し活用する4配膳などを工夫して実際に食事をする時間を増やす5栄養士が食教育の専門家として能力を発揮できる環境や体制を整備し、給食を通じて家庭との連携を深める−−などの骨子からなる提言を同市教委に提出した。

 同市教委ではこれに基づいて、手始めに平成11年度から食器に7年計画で従来のステンレス製から強化磁器製のものに換えることを決め、調理や配膳、食器洗い、消毒などの調理部門を民間委託。民間委託された学校の正職員を別の学校に移すなどして、正職員だけの調理校を増やしていく。平成11年度は4校を民間委託、6校を正職員だけの学校にする方針だ。またこの調理部門の民間委託によって、これまで調理に忙殺されていた栄養士を本来の栄養教育に専念させることも可能と見ている。

 一方、多目的室をランチルームとして使用することも視野に入れており、ここで栄養士が児童・生徒に食事の大切さなどを指導。併せて教員や保護者にも食教育を行っていくことで、総合的に食環境を充実させていきたい考えだ。
 同市では1全部の調理校に栄養士を1人ずつ配置2できるだけ地元産の低農薬野菜を使用3遺伝子組み換え食品の排除−−など、これまでも給食を非常に重視してきたが、「給食は生涯にわたる心身の健康づくりの素地を養う場。時間はかかるが少しずつでも今以上に給食環境を整備していきたい」と同教委では話している。

(教育家庭新聞99年3月13日号)