最終年度の研究を確認

「衛生管理」「栄養教育」連絡協議会開催


 平成11年度文部省衛生管理推進地域指定事業と栄養教育推進モデル事業の連絡協議会が国立教育会館にて、それぞれ先月20日と27日に行われた。衛生管理推進地域が全国の10地域、栄養教育推進モデル地域が全国7地域で指定を受けており、それぞれの協議会では、実践報告と研究協議が行われた。両事業とも平成9、10、11年度の3か年で調査研究が行われており、今年度が最終年度となる。

 衛生管理推進地域では、現場で働く調理員の意識改革が課題となっており、どの調理場もそこをどう改善していくかが問題となっているようだ。
 文部省の進めるドライシステムの調理場は全国でまだ1割に満たない状況であるが、従来のウェットシステムをどううまくドライ運用にしているかということが問題となっている。そこで設備の改善だけでなく調理員の意識改善が重要になってくる。また、設備を改築する際に、現場の声がうまく取り入れられず、結局改善されていないことも問題点としてのぼった。
 また、最新のドライシステムの調理場からも多くの問題点や疑問点が上げられていた。ドライシステムを新たに導入した調理場では、システムを使用していくうちに、調理台の洗浄を行う際に、台の側面についた汚れを床を濡らさずにするには、どのように洗浄するのがよいかなどの問題点も生まれている。ウェットシステムからドライシステムにした時に調理員にどのような意識改革を行うかなども議論になった。

 各地域の実践発表でも、調理員の意識改革の実践が報告された。神奈川県小田原市では栄養士、調理員全ての職員を3班にわけることで、積極的に話合う場を設けるようにした。奈良県新庄町では自分たちの調理作業をスライドで見ることで再確認を行っている。調理員の行動をいかに習慣化づけるかが問題となっているようだ。岐阜県土岐市では、長靴をドライ用の普通の靴にしたところ、靴が濡れるのが嫌で水をこぼさないように気をつけるようになったという。調理員自ら改善点を話合って決めさせるようにしている。
 文部省は、平成とのこと10年度の「学校給食における衛生管理の調査研究報告書」(下記に全文掲載)をもとに説明を行った。施設改善する際は、必ず現場の声を生かすこと。また学校の受け入れ体制にも問題点があると指摘。徹底した衛生管理を行う上で学校側、子どもたちの意識づけも行っていかなければならないとのこと。
 献立作成では、危険因子のある食材を止めるのでなく、食材の組み合わせに配慮する。また誰が何時に何をしているかということがわかる作業工程表、動線図を徹底して行ない、衛生管理のチェックは何のために行うのかということをそれぞれが自覚しなければならない。また納入業者も衛生に関する意識改革も必要であると指摘した。
 これまで研究を進めてきて、どの指定地域にも共通した問題点が生まれている。文部省ではこれらの実践研究をまとめ、ドライ化改善例を配布する予定になっている。

教育家庭新聞「最終年度の研究を確認」