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INTERVIEW
野菜を食べるテクニックを
料理研究家 管理栄養士
 村上祥子さん

料理研究家 管理栄養士 村上祥子氏 食育は食べる技術を教えること
  子どもを通じて大人達への発信

 「これは何かな〜?」とれんこんの穴をのぞきながら、にこやかに子ども達に 質問する村上さん。元気に「れんこ〜ん」とのぞき 返す子ども達の姿に、さらに笑みがこぼれる。6月に 行われた「カゴメ・村上祥子 ミニシェフクラブ」の 一コマだ。3歳から3歳半までの子ども達を対象とした「ミニシ ェフクラブ」を定期的に行っているが、今回は村上さんと、カゴメ(株)の「食育」に対する考えが合致したことから、共に開催した。


 旦那さんの友人がアメリカの女性と結婚したが、奥さんは日本の言葉や食文化の壁に悩んでいた。そんな時に「英語を話せるし、料理が好きだからうちの妻でよければ」と紹介され、料理を教え始めた。

 「全くのボランティア精神」、それが料理研究家の道へ足を踏み入れた原点。

 「スタートは、英語で料理を教えるというところでした。困っている人達に手を差し伸べる。それが今後の人生の基本姿勢になりましたね」。

  しかし、アマチュアであったため「きちんと教えたい」とアメリカから英語の百科事典を取り寄せる。「塩少々」ではなく「小さじ○」と書いていることに非常に感銘を受け、そこから「人に伝えるということは、正確に伝えることが大切」と学ぶ。

  16回にも及ぶ旦那さんの転勤と共に、料理教室を始めては引っ越すということが続いたが、「食べることは生きること、“食育”は食べる技術を教える子育て」と、地方の大学で15年間栄養指導を受け持った。

 そして「いつか自分の条件が許されるなら東京で」と考え上京し、現在の活動を始めた。ミニシェフクラブは、現代事情から土曜日を中心に1コース3回、年に4コース、3歳から3歳半未満の子ども達を対象に開催されている。
 全国で活動し「空飛ぶ料理研究家」と呼ばれるほど多忙なため、現在はこの回数が精一杯。しかしキャンセル待ちがいるほどの申込み数には、期待度がうかがえる。

 親達からは、さまざまな悩みが寄せられているようで、「野菜はこれくらい、これくらいのごはんは1回の目安…」と具体的に教えていく。

 「子ども達に教えることで、その親である大人達へ発信しているのです。食べることはお子さんの体への一生の投資、それをしてあげられるのは一番息の長い贈り物なんですよ」
 と、最終回に伝えている。 

 「2歳児とその母親達への食育、1200万人を超える糖尿病患者へ“食べることで病気が治る”という考えの世界を作ること、エルダー社会まで野菜を食べるテクニックを教えていくことが私の願望です」と、明日は千葉、明後日は福岡と空を飛び続ける

<プロフィール>
 村上祥子(むらかみ さちこ)=1942年福岡県出身。
 料理研究家・管理栄養士。
  「健康的な食生活・食(た)べ力(ぢから)」をつけることへの提案に情熱を注いでおり、全国を講演等で渡り歩き、「空飛ぶ料理研究家」とも呼ばれ、昨年の講演回数は103回。
 メディアにも多数出演しているほか、アメリカでも活躍中。
 9月には「村上祥子・アメリカで教える日本料理」を出版する予定。


【2006年7月15日号】