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日本における女子教育の草分け
ライフデザインのできる人間を育成

跡見学園女子大学 嶋田英誠

文京キャンパスをリニューアル

 嶋田英誠 さん

 東京・文京区茗荷谷に新校舎を構え、文京キャンパスをリニューアルした跡見学園女子大学。10月1日からは、新座キャンパス(埼玉県新座市)と文京キャンパスの2キャンパス制がスタートする。これにより、前期課程(1・2年次)は新座キャンパス、後期課程(3・4年次)は文京キャンパスで学ぶという。

 新校舎は、地下1階地上9階建て、延床面積約1万1902平方メートル。壁には、同大学の校章にも使用されている桜≠イメージしたモチーフがあしらわれ、最上階には屋上庭園とラウンジを設置。最新の設備を備えた快適な環境の美しい校舎が誕生した。

 校舎内は、パーテーションを組み立てると臨時の教室が設置できる多目的スペースなど随所に工夫が施されている。
 学長の嶋田英誠さんは「都心でありながら静かで落ち着いた茗荷谷は、学ぶ環境としては素晴らしい場所です。何より社会・文化を体感する拠点として、また就職活動をする上で便利な拠点となるでしょう。学生たちにとってフットワークが良くなることは、社会の人たちにとっても同様です。例えば講演に来てもらう場合でも招きやすいですから。その点でもチャンスが広がります。双方向にとって良くなることだと期待しています」と語る。

 学生たちがここで学ぶ意義は大きいと話す学長。「何よりこの立地・環境が学生たちにとって大きな刺激になります。ここで世の中を見渡すだけでも視野が広がりますし、それに情報収集も桁違いに大きいと思います。それによって学生たちも変わってくるのではないでしょうか」。

 学園創設者は、跡見花蹊(かけい)。大阪で1859年に父親が経営する私塾「跡見塾」の塾主となり、早くから女性の自立自尊を説き、先進教育を実践してきたという。「日本における女子教育の草分けです。大学は昭和40年に設立されましたが、花蹊の女子教育にかけた思いを今日まで継承しています。

 昭和40年から50年代にかけては花嫁学校として有名でしたが、20世紀の最後の10年間、次の21世紀の新しい女子教育を考え、外からの意見も聞き、プロジェクトを立ち上げました」。

 それにより古き良き伝統を守りつつ、現代を生き抜く女性に必要とされるマインドとスキルを身に付けてもらうことを目標にした。「社会に出て自立自尊して活動できる女性になってもらいたいと思っています。いい意味で、したたかな女性ですね。単に専門的な知識を身につけただけでは意味がありません。いざ何かあった時に、それを乗り越え実行できるしたたかさが必要なのです」。
 自分の人生を自分で作っていけるライフデザインのできる人間の育成を目標としていくという。
 最後に「花蹊の理念を次の世代に継承していく責任があります。その精神を基盤に、我が校の特徴をはっきりと打ち出した教育を今後も実践していきたいと思います」。

 嶋田英誠(しまだ ひでまさ)=1970東京大学文学部美術史学科卒業。75年同大学院人文科学研究科美術史学専攻課程博士課程退学。同大学東洋文化研究所助手を経て、79年跡見学園女子大学文学部美学美術史学科専任講師。82年同助教授、87年教授、98年副学長、2006年学長に就任。専門分野は東洋美術史・中国絵画史。学術論文に「中国文化の中に於ける桃李と、跡見花蹊」

【2008年10月11日号】