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在校時にむし歯が一本もなかった卒業生が後輩たちの講師に。彼女は今も虫歯はない |
■保護者・関係機関との連携から 本校は、寄宿舎併設の小学部、中学部、高等部児童生徒、218名が在籍する知的障害の養護学校です。ダウン症やてんかん、自閉症等、知的障害の児童生徒にも、肥満や歯周疾患等生活習慣病が見られ、また、日常的にもてんかん発作やパニックの発生等にも睡眠、排泄、運動等の生活リズムが影響していることが多く、QORの向上、健康保持、自立・社会参加に向けても発達段階に応じた生活習慣の確立が大切であり、課題でもあります。
本校では、卒後の社会参加を見据え、ヘルスプロモーションの視点に立ち、個々の障害や発達段階に応じ、健康的な生活を自主的に実践できる態度や習慣を身につけていくことを目指し、日常生活指導、各教科、特別活動、自立活動等全教育活動を通して、また保護者、地域関係機関との連携の下、教育・福祉・医療とのネットワークの構築を図りつつ、学校保健委員会を核とした継続的、実際的な保健活動の展開を図っています。
紙面の都合上で特徴的な活動の一つを紹介します。学校保健委員会では、保護者、地域関係機関、地域理解充実交流校、町内会、保育所、作業所等と連携協力し、歯・口の健康づくりを通した「健康な生活習慣の確立」を年間テーマとし、また、肥満予防を中心とした食と健康についてのパネルディスカッションや講演、学習成果の発表も行いました。そして、卒後の社会生活に向け、高等部生を対象に、学校歯科医、歯科衛生士、栄養士のほかにも卒業生、作業所等の外部講師を招き、生徒個々の歯肉を撮影したプレゼンテーション教材を活用し、T・Tによる歯科保健学習を行いました。こうした活動から、保健行動の定着が徐々に見られており、肥満や歯肉炎、DMFT、う歯の着実な減少が見られています。
今後は、特別支援教育の実施に向け、地域関係機関との更なる連携を図り、幼児期から卒後に向けた生涯にわたる個に応じた健康づくりの推進が望まれます。
【2005年6月11日号】