市内全校に食の指導希望調査
食の実践校ルポ



 栃木県黒磯学校給食共同調理場には「食に関する指導」のための学校栄養職員が1名加配されており、共同調理場が中心となって「食生活に関する教育実践事業」に取り組んでいる。
 昨年度は市内の全小中学校に食に関する指導の希望調査を行った。市内21校中中学校2校、小学校8校から学校栄養職員による指導の希望が寄せられ、各校に赴きそれぞれの学校の給食主任や担当教諭と連携を図りながら学級活動の時間を中心にT・T授業を行った。また希望実態調査の結果は市内全校に報告した。
 今年度は昨年度同様各校での学級活動における指導を行いつつ、研究中心校を1校設定し、3年生と6年生の総合的な学習の時間、5年生の家庭科を中心に年間計画に組み入れた形で本格的に授業に参画している。
 中心校となった青木小学校では、各学年食に関する年間指導計画を作成し、教科、道徳、特別活動の時間それぞれで食に関係のある内容を洗い出した。また1、2年生の生活科、3年生以上の総合的な学習の時間は全時間「食」を主題に設定している。
 6年生は「究極のメニュー作り」をテーマに、嫌いなものをどうしたら食べられるようになるかを考え、好き嫌いをなくせるようなレシピ作りに挑戦。自分たちの食生活を振り返り、苦手な食品を克服できるレシピを作る、さらに3学期はそれぞれに追求してきたものをクラス全体でまとめ、1つの作品として地域へ発信する取り組みも。学校栄養職員は調べ学習の時間のほかにグループごとの発表の時間など計5時間に参画し、それぞれの発表に対して助言を行うなどした。
 「1年目は各校の要望に合わせる形で単発的に授業へ参画しましたが、2年目は中心校を設定したことで、年間を通じて調べ学習から発表の場まで一連の流れに関わることができました」と学校栄養職員の小泉喜代美さんは話す。来年度は青木小学校で行った実践内容を県下全校に資料などを通して報告していくとのこと。
 今回の実践は、加配された学校栄養職員が中心となって学校へ赴き指導を行った。同調理場には他に2名の学校栄養職員が在籍しており、献立当番に当たっていない栄養士が交替で指導にあたった。しかし今年は新調理場の開設があり、その準備のため十分な指導にあたることが難しかった。「在籍する学校栄養職員全員が均等に学校への指導に当たれる事が理想ですが、調理場内での仕事もたくさんあるため、なかなか難しく現状では役割を分担しています」と同調理場長の照井淨子さんは話す。
 共同調理場の課題としては、学校栄養職員が全校の指導にあたることは時間的にも無理があるため、モデル校での取り組みを他校に広めるなど調理場が中心となって食の指導のPR活動を行い、市内全校の意識を高めるようまずは取り組んでいきたいとのこと。「学校の意識が変わらなければ、共同調理場の学校栄養職員がいくら提案してもなかなか実践に結びつきません。それぞれの学校の実態調査を実施し、併せて基本となる市内共通の指導案のようなものがつくれればいいと思っています」と小泉さん。
 同調理場は市内の2つの調理場と合併し、昨年9月から完全ドライシステムの新調理場が稼動したばかり。衛生管理推進事業のモデル校としても文部科学省の指定を受けており、作業一つひとつにマニュアルを作成するなど徹底した衛生管理が図られている。


(2002年3月16日号より)