教育家庭新聞・健康号
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子どもの心と体の健康
早急に正確な性教育を
無防備な子どもの性
これでいいのか、大人たち!
 「うちの子はあまり心配ではなかったので…」。産婦人科医で赤坂六本木診療所院長の赤枝恒雄さんにお話を伺う際、そう切り出した私に、赤ひげ先生(赤枝先生はこう呼ばれています)は、「ほとんどの親は、・うちの子は大丈夫・と思っていますよ」と話されました。では、本当の子どもの姿は?それを確かめるためにも、先生のご著書「セックスが地球を滅ぼす」1001ソフトバンク・パブリッシング(株)1002を読んでみてください。親が知らない子どもたちの世界が見えてくるはずです。
〈報告・藤田翠〉



ギャルの日常
  援交バイト

 −−赤枝先生は、六本木で女性の性相談を受けておられるそうですが。
 毎週木曜日の夜9時から深夜にかけ、六本木のロアビル斜め前の「ザ・ハンバーガー・イン」というコーヒーショップで、「街角無料相談室」を始めて6年になります。

 −−そこでの子どもたちはどのようですか?
 彼女たち(ギャル)の感覚は、私の思っていたことをはるかに超えていました。ギャルは挨拶代わりに誰とでもセックスをし、イケメン(いい顔)であればヤク(薬物)の売人でもつき合います。

 −−なぜそんなにセックスに走るのでしょう?
 家庭に居場所がなく、親からは一方的に「勉強しろ」と言われ、反発して勉強せずに落ちこぼれ、「自信のない自分」を忘れたくて、セックスをする。ギャルの特徴として、小学生から中学生にかけ、自我が芽生える頃に親から顔を殴られた経験を持つ子が多いです。また、プチ家出をし、性感染症で病院に通い、7割の子はレイプされています。半数以上の子は妊娠中絶の体験者ですが、援助交際(以下、援交)はあまりしない方です。

 −−援助交際をする子はまた違うのですか?
 見たところは黒髪の普通のお嬢さんで、ルーズソックスをはき、スカートがちょっと短め。眉や爪をきれいに手入れしていて清潔感があり、ギャルと見た目は違います。そうした子が、援交で何十万も貯めていたり。

 援交に入るきっかけは、ケータイよりテレクラが主流で、公衆電話や電柱に貼ってあるチラシを剥がして持ち帰り、そこでバイト感覚で援交を始めます。

 −−その歯止めは?
 子どもより大人が悪いのです。子どもを育てるのが大人の責任なのに、子どもを食いものにしている。子どもをお金で買う大人は死刑にしてほしいくらい。子どもにお金を渡すから、子どもはお金を欲しがる。最初に渡したのは、大人です!

 −−学校や地域、PTAなどの協力は?
 それは耳にタコができるくらい言われていますが、動きがない。それどころか今、性教育に熱心な先生が移動させられています。皆、評論家であるのをやめ、PTAは悪い図書やビデオを追放したり、町会は淫らなビラを剥がしたり、年の差のある怪しげなカップルには声をかけるなど、抗議をしなければ!



中学生行為
  禁止令を

 −−性体験者の年齢が若くなっていますが。
 日本では明治40年、人生50年の時代にできた古い法律があり、13才以下のセックスが禁止されているだけです。世界の国々では、「16才以下のセックス禁止」がほとんどなのに。私は「中学卒業までセックス禁止令を」というのが持論で、東京都にも話したのですが、反対する人がいて、法律ができませんでした。

 −−今の子に性感染症は広がっていますか?
 昔は性病(性感染症)になったり子どもをおろすのは、特殊な子、遊んでる子でした。でも今は、厚生労働省の調査によれば、10代の妊婦さんの19%がクラミジア。パピローマウイルスに感染しているのはなんと46%。このウイルスは子宮癌になる危険性もあります。こうした数字はきちがいじみています。これから子どもを生む人が、性病まみれとは!

 −−なぜ、そのようなことに?
 大人が子どもの現状をわかっていないからです。こんなに子どもは性に溺れているのに、子どもは性の正しい知識を、何も大人から教わっていない。性行為は実際は危険を伴うものなのに、それを教えてもらっていないから、子どもたちは「セックスは楽しいもの」としか見ていない。社会の影響も大きいでしょう。硬いと思われている新聞でも、後ろにソープランドの広告を載せたり、風俗の記事も多い。



ガールズガード
  とは・・・

 −−性感染症から子どもを守るには?
 エイズをはじめ、性感染症の予防には、コンドームをつけるしかないです。多数の相手とセックスをする若い子に、ピルなど勧めてはいけません。「若者にはコンドームを、結婚したらピルを」というのが正しいです。

 −−「ガールズガード」運動とは何ですか?
 今、若者たちの間では、コンドームはカッコ悪いものとされていて、妊娠中絶した子も、「コンドームを持っていなかった」という子が一番多いのです。これではだめ、イメージを変えたいと、女性を守る「ガールズガード」という名前で、世界でただ1つの「保証つきコンドーム」をつくりました。全国のローソンで売っています。コンドームは正しく使えば壊れません。その上で望まない妊娠をした時は、中絶費用を全額こちらで持つ、というものです。これは財政的にも、命がけの事業です。そして、セコムと前田建設が主旨に共鳴してくださり、毎週月曜日の深夜1時30分から2時まで、文化放送でリスナー参加型の性教育番組を放送。性の相談も受けています。

15分でわかる
  エイズ検査

 −−子どもたちが一番心配なのは、エイズでしょうね。
 それで、15分で結果がでる「エイズ街角無料検査」を、東京と横浜のクラブ3カ所でやっていて、毎回40人以上が受けに来ます。この検査は私一人で採血、判定、結果を封筒に入れるまでをやりますので、プライバシーは完全に守られます。一度エイズでないとわかれば、それからは自分の身体を大切にしようと思えるもの。ぜひ検査に立ち寄ってください。

 −−これからの日本には何が必要でしょう?
 性教育をしていないという点で、日本は最もひどい国です。私はもう、大人には期待しなくなりました。そこで、13才から22才までの若者を対象に、「性教育ピアエデュケーター養成講座」(全10回無料)を始めました。性教育に興味のある方を募集し(定員30名)、今すぐ役にたつ性教育をします。教育を受けた子たちが多くなれば仲間に伝わり、自然に正しい性の知識が広まるだろうと考えています。

 −−お父さん、お母さんへのメッセージは?
 性依存症の子は、家庭では疎外された寂しい気持を持っています。そして親がもっと自分たちをわかってほしいと思っています。「勉強しろ」と、子どもを遠ざけるのでなく、「遊ぼうよ」といって、もっと近づいたり、休みの日は一緒にいてあげてください。

 −−きょうはどうもありがとうございました。

 赤枝六本木診療所 03・3405・1388 http://www.akaeda.com/

【2005年3月19日号】