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■造成・芝生・利用・管理 4つの観点から研究
地球温暖化が深刻に取沙汰される昨今、これまで土が主流だった学校校庭も緑化の対象として考えられるようになってきた。文部科学省、東京都でも、校庭芝生化に積極的に取り組み、助成を行っている。校庭緑化が着実に進む中、学校現場では、管理の煩雑さから二の足を踏む、管理がうまくいかず経過が思わしくない、などの問題も聞く。理想的な校庭緑化のあり方を「21世紀校庭緑化研究会」常務理事・東尾さんに伺った。
(レポート/中 由里)
外遊びの増加 環境教育にも
―校庭を芝生にする利点を教えてください。
これまでに校庭を芝生化した学校の報告によると、「子どもが外で遊ぶようになった」「怪我が少なくなった」「でんぐり返しなど、土の校庭ではできないような動きをするようになった」などの変化が見られるようです。また芝生化することによって昆虫がやってくるようになったため、観察の機会が増えたことも大きな利点ではないでしょうか。環境教育の実践にも役立ちます。
また温度上昇の抑制、砂ぼこりの抑制、水はけの改善、地域コミュニティの形成なども期待されます。
―文部科学省、東京都の取り組みはどんなものですか。
文部科学省では「屋外教育環境整備事業」として、「たくましく心豊かな子ども達を育成するため、学校の屋外教育環境の整備充実を図る」目的で、校庭芝生化・植樹・学校ビオトープなどへの助成を行っています。対象は公立小・中・高等学校、特殊教育諸学校、幼稚園で、補助率は3分の1となっています。平成14年度までに全国200校以上の学校校庭が芝生化されました。
東京都は「東京都公立学校運動場芝生化事業」において、平成19〜22年にかけて都内約2000の公立小・中学校の校庭芝生化を目指しています。250u以上の芝生化に対し、補助対象経費の2分の1が交付されます。
子どもたちの健康増進機能だけではなく、特にヒートアイランド現象が深刻な東京都においては、緑化による抑制が大きな目的です(※)。全校が緑化されれば新宿御苑の2倍に相当する緑地が得られるといいます。
―芝生化するに当たっての問題点は何ですか。
芝は管理を怠ると枯れてしまうので、管理を継続しなければならないというのが最大唯一の問題です。しかし取り組む前から「手がかかる」ことにとらわれ、無理なのではないかと必要以上に危惧することはありません。芝生は元来強い植物です。確かにマンパワーも知識も必要ですが、きちんと管理している学校は数多くあります。
定期的な養生 分割する方法も
―芝生の管理について教えてください。
校庭芝生は公園などの「見る」芝生ではなく、「使う」芝生です。調査によると、都内の校庭では子ども一人当たりの平均使用面積は7〜10u、年間の使用頻度は約300日です(プロサッカーグラウンドは年間約40日)。また子どもはすり足で動く傾向があるので、そうした現状に見合ったメンテナンスが必要です。
必要なのは、刈り込み、散水、養生、オーバーシードです。芝は気温が20℃を超えると一日0・5〜1aメートル伸びます。伸びすぎてから刈ると生長点が切られてしまうので、伸び過ぎないうちに刈り込まなければいけません。夏場の生長期には3日に一度は刈り込みたいものです。散水は生長期には1〜3日ごとに行うのが目安ですが、スプリンクラーを使えば手はかかりません。使用頻度が高い場所ですから養生、つまり定期的に芝を休ませる必要があります。こればかりは子どもたちに我慢を強いることになりますが、生き物を相手にしているのですから、むしろ教育の一環として子どもたちに教えてあげればいいのではないでしょうか。長期休暇のときなどを利用して定期的に養生させる方法もありますが、校庭を何面かに分けて順番に養生させるという方法もあります。オーバーシードとは種まきのことです。運動会が終わった10月〜11月頃が最適です。
ほかに、施肥、更新(芝生面に穴を開けたり切れ込みを入れたりして活性化させる)などの作業があります。
―21世紀校庭緑化研究会ではどのような取り組みをしているのですか。
私たちが取り組んでいる課題は現在4つあります。
1.環境に配慮した造成方法の研究
2.安全で強く手のかからない芝生の研究
3.さまざまな利用方法の研究
4.簡単で効率のよい管理手法の研究
1つ目の造成方法については、まず土の改良が問題になります。水はけや通気性がよく、締まりにくく、肥料分などを保ち外に出さない土が理想的ですが、経済的なことを考えても今ある土を使うのがベストです。子どもたちが使う校庭ですから、農薬などはできるだけ使わずに効率よく造成ができるよう研究しています。
次に芝生の研究ですが、使用頻度が高く、維持管理費も多くは望めない環境にある芝ですから、擦り切れに強く、傷んでもすぐに回復し、病気や虫の害、必要な水が少ない芝草を研究しています。
3つ目の利用方法は、子どもたちの健康向上だけでなく、さらに生活を向上させるような新しい観点をもって模索しています。
最後に管理手法の研究ですが、前述の通り、芝生の管理にはそれなりの知識と作業が必要です。持続しなければ意味がありませんから、さらに有効で効率的な管理手法について研究しています。
以上の4つの課題への取り組みのほか、緑化された学校の技術的諸問題の調査、学校緑化の管理を行っているボランティア活動への支援と助言、そして今後の重点活動として芝生管理者養成研修会の開催などを行っています。
地域と協力し管理の支援を
―学校という枠の中では周囲がどれだけ管理にかかわるかが問題だと思いますが、どう考えますか。
学校職員だけに負担がかかっては長くは続けられないと思います。保護者、地域住民の協力を得た支援組織を作ることが無理のない管理手法として報告されています。観点を変えて見れば、校庭芝生の管理という活動を通して、地域コミュニティを構築できるともいえます。また環境教育の一環として子どもたちにもぜひかかわってもらいましょう。
維持管理が煩雑であるという前提で校庭緑化を考えると、前向きに取り組むのは難しいのではないでしょうか。学校は子どものためにあるのです。子どもにとってよいことなのですからぜひ積極的に取り組んでほしいものです。
※芝生の校庭はダスト(砕石粉)舗装の校庭に比べ、8・3℃温度が低いという報告がある(東京都環境科学研究所測定)。