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■校庭緑化から3年 順調な管理の秘訣
前号では、特定非営利活動法人「21世紀校庭緑化研究会」常務理事・東尾 実さんに校庭緑化(芝生化)の是非と展望を伺った。多くの学校関係者の危惧するところは「管理の煩雑さ」であり、実際に芝生整備後の管理に失敗する学校もなくはない。東京都世田谷区立烏山北小学校は、2004年に芝生の整備を行い、以来3年余りを経て順調に管理を続けている。成功の秘訣は何か、校長・副校長先生にお話を伺った。
(レポート/中 由里)
”観る”芝から ”活用する”ものへ
―校庭を芝生にしたきっかけはなんですか。
櫻井 世田谷区は緑化に熱心で、平成11年には「世田谷みどりの基本計画」を策定し、区内の緑の保全と創出に努めてきました。そうした計画の一環として校庭芝生化に着手する学校を募ることになりました。ご近所への砂ぼこりの解消ということもありましたが、何といっても芝生のもつ緑のよさ≠ヘ、子どもたちの心や体にきっとよい≠ニ思いました。当時は東京都の「東京都公立学校運動場芝生化事業」が確立していなかったので、区の呼びかけに応じる形でしたが、後に東京都からの補助も受けられるようになりました。
―学校関係者や地域の意見はどうでしたか。
櫻井 学校関係者にも保護者にとっても地域の方々にとっても他に例の少ない試みでしたので、少々不安はあったようですが、おおむね賛成してくれました。校庭の芝生化について子どもたち、保護者、地域の方々に説明会を行いました。芝生が病気になったらどうするの≠ニいう子どもの声や養生期間や生き物である芝生の維持管理の心配はありましたが、観る芝ではなく、子どもたちが活用する芝≠ナあることを基本的な考えとして、とにかく始めてみてから創意工夫するということで歩み始めました。
土を捨てず改良 環境教育にも
―芝生整備までの過程をお聞かせください。
櫻井 我々が日ごろ接する芝生は主に入ってはいけません≠ニ立て札が立った芝生ですが学校の芝生は子どもたちが常時遊び、運動する「使う」芝生です。サッカーなどプロの競技場より使用頻度が高いものです。ですから足圧や病気などの耐性があり養生期間が限りなく短い芝生を張ることが第一条件でした。また、継続管理が大きな負担にならないことも条件の一つでした。世田谷区では、施設課の担当者のほかに、世田谷トラストまちづくりセンターの方々や、芝の専門家でいらっしゃる吉岡俊哉先生を加えていただきました。特に、素人の私には芝の専門家の先生の助言は大変ありがたいものでした。
工事は体育をプールで補える6月中旬過ぎから夏休みにかけて行いました。芝の育成に合った土に入れ替えてしまう方法が簡単なのですが、環境教育にもつながるように、掘り返した土は捨てずにスギやヒノキのチップなどの土壌改良剤を10〜20aメートル程すき込み、土を改良するところから始めました。農薬も一切使っていません。芝を張り、養生を経て9月中にはテープカットを行いました。
裸地は勲章 子どもへの恵み
―管理の面で苦労はありませんか。
石谷 皆さんが心配されたほどのことはありません。主に副校長の私と主事が管理を行っていますが、主事が勉強熱心で助かっています。一番大切な水まきは、クレイコートのときからあったスプリンクラーを増設して行っています。タイマー、雨センサー(降雨時には作動しない仕組み)も設けたので、季節に応じて調節しますが、多くの管理を機械任せにできます。芝刈りは手押しのものと機械がありますが、機械を使えば20分ほどで終了します。補修のための種まきは子どもたちも参加して毎年2〜3月に行います。
本当は地域に開かれた学校として地域の方や保護者の皆さんのご参加もいただきたいのですが、それほど大掛かりな仕事はないというのが正直なところです。というのも、芝生に振り回されるほどの完璧さを求めてはいないからです。子どもたちが走り回り、地域団体がスポーツなどで使用すれば芝は傷みます。とくに運動会あとは裸地(芝が磨耗し土がむき出しになった状態)が目立ちます。しかしそれは使用する人たちの健闘の結果として喜ばしく見ています。裸地はみんなの勲章です。裸地があったり雑草が残ったりしていると、この芝生は失敗だと取る方もいらっしゃいますが、裸地も雑草も芝のうちとお考えいただきたいと思います。子どもたちが受け取った恵みは計り知れないのですから。