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子どもの心とからだの健康
姿勢・呼吸・食生活の3点に注意して

■成長期の子どもと歯の噛み合わせ

齲歯(うし)、いわゆる虫歯は、予防の啓蒙が功を奏して近年著しく減少しているという。しかし口腔内の問題は虫歯だけにとどまらない。見た目の美しさという点で歯並びに気を遣う保護者は以前より増えたようだが、噛み合わせにまで気をつけることはあまりないのではないだろうか。噛み合わせの悪さから起こる諸問題、治療などの研究を独自に切り開いてきた吉岡ドクターに詳細を伺った。
(レポート/中 由里)

噛めないことが全身の問題に

―子どもの虫歯は減ったようですが、噛み合わせにまで気を配る親はまだ少数派だと思います。噛み合わせが悪いとどんな影響が出るのですか。

  小中高校の健診でも確かに虫歯は減っています。増えてきているのが歯並び、噛み合わせの異常です。矯正治療を行っている児童も増えていますが、治療の必要な児童はそれ以上に多いです。

  問題は歯や顎の異常が全身の問題でもありしっかりと噛めていない人が多いという事です。歯並びが悪くなってから受診される方が多いのですが、噛めているかどうかはあまり気にしていないか、わかっても治療は無理だと思っているのが現状のようです。

  噛み合わせが悪い場合の影響として代表的なものでは首や肩の凝り、背中の張り、腰痛などとなって自覚されます。その他は偏頭痛、貧血、めまい、視力・聴力の低下。耳鳴りや難聴などもあると言われています。噛み合わせのズレが頭部、首の骨のズレに繋がり、それによって頸椎の中の神経や血管を圧迫し、様々な症状を発生させると考えられています。バランスが崩れた状態が長く続くと筋肉の収縮や発達に大きな変化が出てしまい、顔の歪みにもつながります。

  例えば片噛みが長く続くと同側の肩が下がってきます。反対側の使っていない顔はたるんで大きく見えてきます。偏った状態が長く続くと負担過重となりそこから壊れてきます。磨いているのに虫歯などのトラブルが多い人は歪みやバランスをチェックしてみてください。姿勢の悪い人に口腔内のトラブルは多く、口腔内のトラブルの多い人に病気は多いのです。

時期別の注意と予防処置の継続を

―よしおか歯科ではどのように噛み合わせの不都合を発見するのですか。

  前出の通り、全身と口腔内には一致した法則があります。噛み合わせの癖や異常が姿勢や筋緊張などにも出ています。

  よしおか歯科で最初にする事は、口腔内と立位の写真撮影です。この二つだけである程度の傾向を判断することができます。来院されたすべての方に全身と咬合の関連性、噛み合わせの重要性をお話しています。

  他の検査としては咬合力、咬合バランス、筋電図、足圧バランスなど、必要に応じて検査を行います。

―歯並びや噛み合わせを悪くしない為に口腔内ではどのような注意点がありますか。

  歯並びや噛み合わせを悪化させないために時期別の注意点を考えると、次のような注意点があります。

  乳歯列時期で歯並びが悪い場合、歯ぎしりなどで歯の摩耗がひどい場合、またいびきなどは早めに相談しましょう。

  交換期が近づいてきたら、乳歯に隙間ができるのがよい状態です。ぐらぐらしてきても隙間がないのは永久歯が並びません。顎の発育不全かもしれません。低年齢からできる矯正や誘導法もあります。複数の先生に相談してみてください。

  交換期中では、左右の生え替わりの時期が半年以上ずれている場合、乳歯に虫歯や欠けなどがある場合、また隙間やでこぼこがあり、磨き残しができやすいです。萌出したばかりの永久歯は抵抗力が弱いのです。予防処置は継続しなければ意味がありません。

  予防充填は定期的な補修が必要です。劣化した充填が原因で虫歯ができることもあります。痛みなど症状が出てからでは遅いので、早めに指示や処置を受け、できるだけよい状態で永久歯の萌出を誘導するために頑張りましょう。

  全年齢に共通することとしては、治療が中断中、脱落や抜歯後に放置している場合、詰め物が欠けたり、取れたままなどは、それぞれの方なりのバランスが取れていた咬合が崩れている状態です。そのようなときは残存している歯や顎などにも大きな負担をかけていますので、心当たりのある方は早急に治療を再開した方がよいでしょう。

自然治癒力を取り戻す治療

―健康に成長させるための日常生活での注意点を教えて下さい。

  成長期の児童での注意するポイントとしては3つ、
1.姿勢
2.呼吸
3.食生活
などがあります。

  特に姿勢や外見は健康のチェックと指導の両方で非常に有効で重要です。よい姿勢も習慣です。普段からいわゆる猫背、頬杖、机に肘をつく姿勢は背骨に大きな負担をかける悪習慣です。バランスが取れていると負担が減ります。重心を体の中心に置くように意識してください。重心を真ん中にするだけで綺麗になります。何かを始める前に背筋を伸ばし大きな深呼吸をして体の中心を意識してから動き始めるようにしましょう。

  次は呼吸です。街でも若い方に口を閉じていない人をよく見かけます。鼻呼吸は自然と身につくものではありません。鼻で息をする習慣がない方は食事もゆっくりと噛むことができず、早く飲み込んでしまいます。噛む回数が減り顎の発育が悪くなり、歯並びも悪くなります。また口呼吸では乾燥し歯に汚れがこびりつきやすくなります。口呼吸の人は虫歯が多くなります。鼻と口の疾患は同時期に治療したほうが両方によい結果が出ます。ぜひ口を閉じて鼻呼吸をするように指導してください。

  学童の生活習慣病も増えてきました。
  すぐにできるよく噛む食事のポイントは4つ。
1.薄味にする。
2.時間を十分にとる。
3.食事の飲物をやめる
(↓食後に飲む)。
4.間食をやめる。

  個食、外食、インスタント食品は、できるだけ減らして下さい。食生活改善の具体的な献立は成書に譲るとして、まずは週1日から始めましょう。

  家族で食事の用意から、時間をとって楽しくよく噛むことで唾液の出も良くなり、記憶力も上がります。肥満防止の効果などもあり、病気に強い身体を作ることができます。

―噛み合わせの治療はどのように行いますか。

  一般的な治療は悪くなった部分だけですが、悪くなってしまった原因はほかにあるかもしれません。よしおか歯科で行っているのは原因を考えた、トータルを考えた治療。今よしおか歯科で成果を上げているのが「デンタル・パワー・リバランス」です。その人の身体を診ながら咬合のバランスを治し、その人自身が持つ本来の自然治癒力を取り戻すという治療法です。噛み合わせのバランスを取ることで、歯牙の顎の違和感、開口時の疼痛などのほか、偏頭痛や肩凝りなどの軽減はほぼすべての人で改善を見ています。

  咬合バランスを整え、よく噛めるようになってから初めて個々の歯の治療になります。再度のカウンセリングにより、その人に合わせた治療計画を作成。必要に応じて身体によい最良の材料を選び、詰め物、冠や義歯、インプラントなどの治療を行います。



【2008年2月16日号】

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