第1回全国環境学習フェアが神戸で開催  9月29日〜10月2日

    ー 市町村単位で実践発表 −

 

目立つパソコン活用

会場となった兵庫県・神戸市は、約4年前の大震災によって壊滅的な被害を受けた場所でもある。芦田副知事が「電気・水・ガスなどが使えない中でエネルギーを少し粗末にしすぎたのではないか、と考えた」と開会式であいさつしたように、環境への取り組みが積極的に行われている。
 初日には教育現場や市町村単位の実践例が発表された。環境教育に取り組んだきっかけは、県の環境教育実践推進校の指定を受けたことや、こねっとプラン(NTT・文部省協賛のインターネット推進事業)に参加したことなどさまざま。とくに学校単位での取組みでは、パソコンやインターネットの積極的な活用が目立った。
 加西市立泉中学校はこねっとプランへの参加や「環境のための地球観測プログラム(GLOBE)」モデル校の指定を受けたことがきっかけとなっている。また愛知県岡崎市立新香山中学校では、学区を流れる川の調査状況や、EM菌を活用しての川の浄化活動などをホームページ上で紹介している。「環境への取り組みは、継続しなければ意味がないし、地味な作業も多い。そんな中で他の学校や、自治体、研究者との交流があれば生徒たちも・自分たちだけでなく他にも頑張っている人たちがいる・と積極的になれる」と新香山中学校の渡邊政則教諭は言う。

地域との連携も 

 西宮市環境保全課環境啓発係長の小川雅由氏は、行政としての参加。西宮市は環境庁の「こどもエコクラブ」の基本モデルとなった市でもある。現在同市では、地域社会に環境学習のしくみづくりをするため、「子ども環境活動支援ネットワークシステム」を導入している。学校でエコカードを配布し、買物やボランティアで環境に関連した活動をした場合にスタンプを押していく。市内の各店舗や児童館などにスタンプを置いてもらい、地域全体の人に協力してもらう。エコカードを通じて、文具店などでは子どもと店員との会話が生まれたりと、大人たちにも好評のようだ。
 西宮市の例からも、環境教育には地域や家庭、企業の協力は今後欠かせないだろう。学校全体をビオトープにして活用する神戸市鹿の子台小学校も、PTAの協力や企業による資材の無料提供などが活きている。今回のフェアでは展示に企業も出展した。「学校・家庭・地域の連携」を掲げる現在の教育改革においても、環境教育は大きな役割を果たしそうだ。

(教育家庭新聞98年10月24日)