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実践講座 PTA広報紙Q&A
<第16回> 2005年10月15日号掲載
 PTA広報紙をつくる上でも、依頼原稿に頼らず、自分たちで取材して書いた記事を中心にして紙面を作ることがよいとよくいわれます。「取材」では、どんなことに気をつけて行っていったらよいのでしょうか。また、取材とはどのようなことをいうのでしょうか。


 企画会議で取り上げる記事、担当者などが決まりましたら、広報紙づくりで一番大切な「取材」活動に入ります。学校新聞やPTA広報紙のように、教育活動の一環としてつくる新聞活動では、企画会議で決まったことを記事(文章)に仕上げる(原稿用紙に清書するまたはパソコンに入力する)までの作業を取材と呼ぶことが多いです。

 ところで、「記事は足を使って書け」とよくいわれますが、これには2つの意味があります。

 ひとつは、ふだん見のがしがちなところに目を向けたり、さまざまなところに足を踏み入れたりして、積極的に記事にしていくことです。

 もうひとつは、プロの新聞記者がよく「記事の裏をとる」ということばを使うように、PTA広報でも事実をしっかり確かめてから記事にするということも大事です。現場主義といってもよいと思います。これらを一言でいうならば、「調査と確認」を怠らずに記事を書きなさい、ということではないでしょうか。

 依頼原稿を行うことは、取材ではないと思っている人がほとんどです。確かに、依頼文を付けて、担当の先生を通して原稿を依頼するのでしたら取材とは言い難いかも知れませんが、PTA会長や校長先生にお会して、発行の意図などを直接お願いすれば、立派な取材になります。私は、広報委員会から原稿を頼まれた時には、必ず担当者と会って、企画の意図などをお話してから原稿を書くことを引き受けることにしています。

 さて、取材の中心は、自分で見聞きしたり、資料等を調べたりすることです。最近は「インターネットで調べる」という人が多くなっています。しかし、気をつけなければならないことは、そのデータ・情報の正誤・真偽などをきちんと確かめてから引用しなければ調べたことにはなりません。インターネットで調べたといいますがそのほとんどがインターネットで情報を引き出したことに過ぎません。
 取材のポイントは、次の3つです。

  1. 〈見る位置(視点)を変えてみる〉 例えば、子どもの安全についてチェックするのでしたら子どもの目線でみていかなれればなりません。110aの高さでみないと小学校1年生にとって安全かどうか分かりません。テニスのネットのワイアーは大人の胸の位置ですが、小学校低学年の児童にとっては目の高さで、ワイアーにぶつかって目に怪我をすることがあります。運動会では、グランド内の競技にだけ目が行きがちですが、見学者や校庭の外にも目を向けたいです。
  2. 〈ひとつのことを追ってみよう〉 一日一回だけでなく、一週間、一ヶ月続けて取材することにより、ある一つの事実が浮かび上がってきます。登校時間を一週間調べたら月(金)曜日に遅刻が多いという結果が出されたとします。なぜ月曜日あるいは別の曜日が多いのか詳しく取材してみると意外な事実がみつかるかもしれません。
  3. 〈普段見ないところ、見えないところを覗いてみよう〉 昼休みや給食中の子どもの様子も取材対象となります。
     取材の中心は、自分で見聞きしたり、資料等を調べることですが、その外にも、インタビュー、アンケート調査、座談会・対談、ルポルタージュなどの方法もあります。

 全国新聞研究協議会会長・鈴木伸男(町田市立町田第二中学校長)