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実践講座 PTA広報紙Q&A
<第20回> 2006年2月18日号掲載
 前回、「編集権」と「発行権」ということをお聞きしました。まさかと思ったのですが、私の近くの学校で、実際に、二学期号が発行禁止になってしまった広報紙がありました。詳しいことは分からないので、どうも校長先生がその内容についてクレームをつけたということですが、たいへんショックを受けました。校長の鶴の一声で発行を差し止めることができるのでしょうか。

 ある県の小学校で実際に起こったことですが、結論からいえば、差し止めることは、校長には絶対できません。詳しく述べてみます。

 まず、前回も書きましたがPTA広報紙の発行権は、PTA会長にあり、発行すべきかどうかはPTA会長が判断するものです。PTAは学校とは別の組織・会であり、その機関紙がPTA広報紙ということになります。校長が直接広報委員長に「発行してはいけない」ということは言えないことです。PTAによっては、校長が顧問となっているところもあるかも知れませんが、校長はPTAの役員ではありませんし、会長より偉いわけでもありません。顧問とは「相談をうけて意見を述べる役目」のことです。また、もし発行の差し止めを申し入れるのでしたら、相手はPTA会長の方になるでしょう。その校長はPTAを学校の付属物だと思っているのかも知れません。学校新聞や学校だよりでしたら校長の考えで発行をさせないことができますが、その場合でも発行禁止・差し止めはできるだけ避けた方がよいと思います。

 二つ目に、校長は何でも知っている、何でも指導できるという勘違いです。勿論、教育のプロとしてアドバイスを行うことは大切ですが、PTA広報紙づくりの指導をした経験がどれだけあるのでしょうか。経験者ならそんな暴挙はしません。編集権・発行権という言葉すら知らない人がほとんどでしょう。

 私がみせてもらったところでは、特に問題はありませんでした。意欲的に取り組んでいるようすが伺えました。

 学校行事が紙面に載せられていないことが、発行禁止の大きな要因だといいますが、どちらかというとPTA広報紙に学校行事を載せることの方がおかしいことです。PTA広報紙には、原則として学校行事は載せません。なぜなら、PTAの機関紙だからであり、学校行事は、学校新聞や学校だよりに載せるべき内容なのです。

 しかし、現実的には、学校新聞が作られていない、保護者(会員)の関心が高いなどの理由により多くの広報紙に運動会や修学旅行などの行事が載せられていますが、それはやむを得ないことだと思います。

 人権上の問題があったり、学校の信用を傷つけられたりした場合や大きな混乱が生じることが予想される時には、PTA会長と話し合い、その内容の変更や記事の差し替えなどを要請すべきです。事実だからといって何でも載せられるということではありません。発行禁止は、伝家の宝刀であり、抜かないほうが良いに決まっています。

 全国新聞研究協議会会長・鈴木伸男(町田市立町田第二中学校長)