教育家庭新聞
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実践講座 PTA広報紙Q&A
<第23回> 2006年5月20日号掲載
 個人情報保護法が施行された影響もあり、PTA広報紙に子ども(児童、生徒)の写った写真を入れることを学校側から断られるケースが多くなっています。職員紹介用の写真の提出を拒否される先生もいるようで、このようなことがますます進むと広報紙そのものの発行が難しい状況にありますが、何かよい知恵はないでしょうか。


  昨年の4月1日に「個人情報保護法」が全面実施されたことで、異常に神経をピリピリさせているように思います。まず、この法律そのものは、個人情報を目的外に使用することを禁止したものです。通販でものを購入した時の申込書が別の目的で外に流されていました。旅行のプレゼントに応募して旅行関係のダイレクトメールが届いた経験がある人もいるかと思います。申し込みの時、住所の番地にAとかBなど別々の記号をつけて応募しますとどのハガキの情報が漏らされたかが分かります。「個人情報保護法」が実施されたので、そのような使い方が出来なくなりました。PTAで役員名簿や会員名簿、連絡網等の扱いも慎重にならざるを得ません。

 さて、PTA広報紙に写真を使う場合ですが、肖像権がありますので、個人をアップで載せる場合はきちんと了承を得ておくことが必要なことは従来通りです。運動会や文化祭などで、その場の雰囲気を出したい写真の場合、例えば運動会のムカデ競争でしたら子どもがいた場合には保護者の同意がいるでしょう。写すとき、広報紙に載せますと断っておき顔を強調しなければ、数名以上の活動しているスナップ写真を、了承を得ないで載せることができます。また、絵解きの文には「○○○をしている文化委員さんたち」などとし、個人名は避けます。「リレーでトップを走る2年の山田くん」などとは絶対書かないことです。

 小学校のPTA広報紙には、学級ごとに新入生全員が、ひな段に乗った集合写真を大きく入れたものがかなりあり好評です。載せることは悪いことではありませんが注意が必要です。まず、名前を入れないようにする必要があります。第三者に顔と名前の両方が分かってしまうことは避けなければなりません。また、撮影時に名前抜きで集合写真を載せることを知らせておく必要があります。前年度の広報紙と同様のものでしたら、比較的容易ですが、新たに行うとするとかなり根回ししておかなければなりません。もちろん、学校長の了解は必要です。

 職員紹介も1学期号の定番で、保護者にも喜ばれています。「個人情報だから写真を載せるのはいやだ」という教員もいると聞いています。PTA広報紙は読者限定の地域紙の一つ。学区域の中では教員は先生という公人としての立場が優先されますので、拒否すべきではないかと思います。ある人だけ写真を入れなかったら、その方が問題でしょう。しかし、写真に添える紹介文には、出身学校、年齢、家庭など私生活に関することは質問しないことです。趣味や愛読書など個人の人柄が分かるようなことを聞くのが無難です。

 全国新聞研究協議会会長・鈴木伸男(町田市立町田第二中学校長)