教育家庭新聞
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実践講座 PTA広報紙Q&A
<第30回> 2006年12月16日号掲載
  本校PTA広報紙では、3学期号に、3年生の進路先一覧を毎年載せていて、保護者からはとても好評です。しかし、昨年度、ある学校の受験者が1名のみで合格者がゼロでしたが、その高校を受けた親から受験したのがうちの子だけだから、落ちたことが分かってしまうという苦情をいわれてしまいました。このような場合、どうしたらよいのでしょうか。

 中学校のPTA広報紙ですと、受験状況や進路先一覧などを載せることがよくあります。1、2年のお子さんを持つ保護者にとって、今年度の3年生がどの上級学校に何名受かったのかなどは気になるところです。

 学事報告では、下の表のような形で載せられることがほとんどですが、一般に進路状況をPTA広報紙に載せる方法として3つが考えられます。

 1つ目は、学校毎に男女別の受験者数、合格者数、進学予定者数を載せる。2つ目は、学校ごとの男女別の受験者数と合格者数。3つ目は、進学予定者数です。

 多くの保護者からすれば、すべてを知りたいと思います。どの学校を受けた生徒がどの位いるのか、難関校に何名入ったのか興味をそそるところです。毎年、このような形で紹介しているので、特に考えないで掲載しているところもあるかと思います。

 しかし、ここで考えてもらいたいことは、例えば5人受験して4人が合格し、4人とも進学したとしますと1人は希望が叶えられず滅入っているという事実があることです。また、1人しか受験者がいない学校では、その1人が落ちたかどうかも分かってしまうこともあります。さらには、進学したかったけれど事情により、進学をあきらめた人がいて、この表の影に隠されていることも忘れてはなりません。

 このようなマイナス面があることを理解した上で、記事にしなければなりません。どうしても載せなければならないのでしたら、学校別の入学予定者数か受験者数のみに留めておくことが無難でしょう。

 それよりも、来年度受験する2年生に向けて、「もっとこうすればよかった」、「こうしたのでうまくいった」、「受験校をどう選んだらよいか」などを3年生にアンケート調査して、載せる方が有効です。

 光を当てれば必ず影が出来ます。その影のことを考えながら記事を書くことがPTA広報紙の記者の姿勢としてはとても大事です。

 全国新聞研究協議会会長・鈴木伸男(町田市立町田第二中学校長)