海外の子どもの健康事情
ヨーロッパの子ども おこづかい事情


 「最近の親は子どもにお金をかけすぎている」と日本ではよくいわれるが、ヨーロッパでもそのような親たちは例外ではない。
 ドイツでは、7〜12歳の子どものお小遣いは1年間で総額約290億円に昇るといい、定期的にお小遣いをもらっている子どもたちは71%(平均金額2030円)、必要な時にいう、ときどきお小遣いをもらうはそれぞれ9%(各々平均金額1972円、1276円)である。
 そして子どもにとって1年のうちで最も楽しみな行事であるクリスマスには55%が、また誕生日には64%の子どもがお金をもらっている。これらの日にもらうのは、7000〜9000円強と普段よりも高い金額だ。さらに、多くの子どもにとって銀行のキャッシュカードをもつのは珍しいことではなく、お小遣いの管理も子ども自身が行っているそうだ。
 スイスでは、お小遣いについての母親と子どもとの言い合いが絶えない家庭もあり、そのような子どもたちは家事をまったく手伝うことはなくその話し合いに時間を費やしているという。お手伝いをする子どもが減り、家庭が子どもにとってまるでサービスの行き届いたホテルのようになってきているというが、これは母親が専業主婦の場合とくに顕著で、母親は家計のやりくりや子どもへのお小遣いに頭を悩ますことになる。
 一方、イギリスについては少し衝撃的な流行を耳にした。小学生や10代前半の女子が美顔・脱毛・マニュキアなどの美容にお金を使っているというのだ。月に4000〜5000円だというが、もちろんお金を出すのは親たちで、母親たちは「子どもに自信をつけてほしいから」とサロンに通うことには大歓迎だし、父親たちも「子どもが楽しんでいるのならそれでいい」と気にしないのだそうだ。
 ちなみに、イギリスでは8〜12歳の子どもがとくにマーケット(市場)の売り上げ向上のターゲットにされていて、この年齢層向けの商品生産費は毎年2000億円を越している。
 どれくらい、そしてどのように子どものためにお金を使うかはそれぞれの親が決めること。各国、各地域の物価も違うし、子どもが喜ぶものを与えたいという気持ちは当然である。
 しかし、T子どもが喜んでくれればそれでよいUだけでは子どもを教育しているとはいい難いだろう。「お金と子どもの精神面の健康」について再考するとともに、親自身の精神的健康を再確認してみてほしい。







(2002年2月9日号より)