教育家庭新聞・健康号
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先輩アドバイザーが
新人養護教諭の悩みに応える
「先輩、どうしたらいいの?」
アドバイザー/東京都立九段高校・竹下君枝先生

Q 私は高校に勤務して2年目です。昨年の9月、生理が遅れていると相談があった女子生徒が妊娠とわかったのですが、どう対応してよいかわからないまま中絶ということがありました。今年も夏休みが過ぎようとしていますが、またそういう生徒が、ということを考えてしまい、挫けそうです。こんな場合、どう対処したらよいでしょうか。


A 大人達が性教育の議論をする以前に、今の高校生達の性行動はすすんでいます。そういう現実の子ども達に対処する時、養護教諭の対応としては、大前提として生徒本人から保護者に話すようすすめましょう。そして、担任にも話すよう生徒を誘導し、担任も一緒に考えてもらうようにします。養護教諭から親や担任に言うことは、相談を持ちかけてきた生徒との信頼関係を損ねてしまいますので、避けたほうが良いでしょう。生徒によって状況は様々ですが、保護者の了解なしに養護教諭が病院を紹介したり、中絶に立ち会ったりすることは絶対にやってはいけません。いくら善意の上での行動でも、取り返しのつかない事態になることもあります。ケースによってうまくいかない時もありますが、養護教諭が自分ひとりで悩みを抱え込まず、誰に相談したらよいのか判断し、行動することが大切です。

 そしてもうひとつ大事なことは、望まない妊娠を避けることや性感染症を予防するための性教育が重要となります。学校によって課題の違いがありますが、性に関する問題が多い学校では夏休み前に指導する必要があります。体育科の教員と連携し、養護教諭の専門性を生かした予防教育を実施することも良いと思います。また、産婦人科医や助産師、保健師などの専門家を招いた講義は、現場の実践や経験を踏まえた内容でインパクトがあり効果的です。

 生徒から色々な相談を持ち込まれて大変だと思いますが、妊娠や性感染症等のかなりプライベートな問題を相談できる雰囲気があるのは、とても良いことです。頼りにされる養護教諭として、生徒達のために頑張ってくださいね。

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【2005年8月20日号】

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