自分の責任で食事内容決められる子に

ごはんを中心とした食生活の見直しを


−−子どもの食事についてそれぞれのお立場で感じていらっしゃることをお話いただけますか?

  中野区立第五中学校で校長をしております。以前は中野区教委で給食・保健などを担当していまして、赴任した中学校でも研究会として引き続き「食育」について日々実践研究を行っています。近頃感じるのは、子どもたちの食事がかなり学校給食に支えられているということです。本校で調査をしたところ、朝食の欠食率はそれほど高くありません。しかし、菓子パンをかじる程度でバランス等全く考えていない。夜に塾へ行っている子どもも多く、自分達の好きなものを外で食べている可能性もあり、食の自己管理能力を育てるということを今指導しなければならない、と感じています。

 幸田 渋谷区立常磐松小学校の栄養職員です。毎日の給食を通して食べることに興味や関心を持てるように、旬のものを多く取り入れたり、新献立を毎月入れたり、献立のネーミングを考えて献立作りをしています。給食の時間には、毎日放送で今日の献立について説明します。クラスを巡回して子どもたちの生の声を聞きながら、分量等足りているかどうか食事の状況を見て歩くようにしています。

 白石 杉並区立桃井第三小学校で養護教諭をしております。私自身が食べることに興味を持っているので子どもたちにも是非興味を持ってもらいたいと考えています。子どもたちの健康な体づくりは、最終的にはすべて食べ物に通じます。
 保健の指導で、「体」「歯」「睡眠」「性教育」まで行っています。「性教育」で赤ちゃんが育つ話をするには、お母さんの栄養がどのようにしておなかの中の赤ちゃんに伝わるのかを教えなければなりません。丈夫な赤ちゃんが生まれるためには、食事が大切ということを子ども達に認識してもらうために。

 吉田 武蔵野市立第一中学校でPTA会長をしています。私自身、大学生と高校生と中学生の子どもがいますが、今の子どもはとても忙しいです。高校生の子は部活で毎日帰宅が遅く、朝は朝練。朝食をお茶1杯で済ませてしまうこともしばしば。「ちゃんと食べて行きなさい」と注意しても、高校生ぐらいになると聞きません。また、市内の中学校は給食の実施が無く、お弁当を持たせていますが、保護者の中からは「給食があったら助かる」という話が出ています。

学校給食の役割

−−学校給食でもごはんの登場回数が増えましたね。

 幸田 本校では、月・水・金が米飯給食、残り2日はめんかパンになります。ごはんのメニューは和・洋・中どんな料理のおかずにも合います。また、脂質が抑えられるのがメリットだと思います。米飯給食ですと、汁物がつき、副菜に焼き魚や和え物など品数も多くなります。ほうれん草一つとっても、おひたし、ごまあえ、ピーナッツあえなど、バラエティに富んで、味覚を広げることができます。

  子どもたちには、自分でごはんメニューを考えることができる子どもに育って欲しいと思います。自分の責任の中でごはんメニューを選ぶ、自分で選んだものに責任をとる、ということです。
 本校では自分達で栄養のバランスがいいものを選ぶことができればと、「セレクト給食」を実施してみました。私達大人でも人によって食べたいものは違います。子どもたちにも、カレーかハヤシライス、かやくごはんかわかめごはんなど、メニューを選択する機会を与え、受身の給食ではなく、自分でメニューを選ぶことを覚えてもらいたいという願望からです。「21世紀の給食への挑戦」だといっているんですよ。

 白石 自分で食べるものを考えるというのは、とても大切な事です。夏休みが終わり、2学期の身体計測の時に、給食が子どもたちを助けているということを実感しています。家庭での生活習慣がよく現れていて、太る体質の子は休み中とても太ってしまっています。おやつやバランスのとれていない食事のせいでしょうか。逆にやせてしまう子もいます。栄養バランスがよくないのかもしれません。親が忙しくなっているからでしょうか。子ども自身が「自分でできることは何か」を考える力を養う必要があります。
 4年生の授業で「おやつ」について学習した際、どういうものを選んだらいいのかを子どもたちと考えました。どれだけの脂肪が含まれて、また塩分がどれだけあるのかなど、具体的に調べて比較すると、子どもたちはその成分にとても驚きます。

 吉田 ごはんをしっかり食べている子どもは、お陰で健康で病気になりません。また、集中力や持続力も違ってきますね。母親がバランスを考えて出した食事を、子どもがきちんと食べてくれるよう努力しています。

ごはん食の力

  本来、生きること、生活することは家庭で教えるべきことですが食事については、知識として子どもたちに教えることで、興味や関心を持ってもらい、意欲を喚起したいという思いがあります。私も知らなかったのですが、ビタミン剤などが多く出回っているせいか、錠剤を飲んだだけで栄養のバランスがとれると思っている人が多いと聞きます。しかし食事でとったビタミンは、余分なものは体から排出されますが、薬でとった脂溶性のビタミンは排出されないとのことです。こういった知識を持っていれば、1日3回の食事への見方が変わります。昔はビタミンB1はお米等からとっていましたが、ごはん食の機会が減っている現在ではどんどん摂取量が減っているそうです。

 お米を食べることは日本の文化だということを子どもたちにはぜひとも知ってもらいたいですね。
 白石 保健室に来る子どもたちの朝食について聞くようにしています。「食べたよ」と答えてくれる子どもたちでも、栄養補助食品だけで済ませてくる子もいるのは驚きです。「食べた」ことではなく、その内容が問題ですね。朝は「ごはんと味噌汁」と答える子どもがいると、拍手して喜びたくなってしまいます。最近の子どもは「ピザ」や「パスタ」の種類は良く知っていますが、ごはんの「おかず」の名前が出てきません。

 幸田 昔は「学校給食を家庭の食事に近づける」ことが目標でしたが、今は逆だと言われています。低学年の子が「先生、お手紙書いて」と言うことがあります。学校給食で食べておいしかった献立を、お母さんにレシピを教えてあげて家でも作ってもらいたい、ということなのです。そのような時は、学級だよりや、給食だよりでレシピを紹介するようにしています。子どもも学校からのプリントに書いてあれば、お母さんに伝えやすいと思っているようです。

 白石 健康教育は親子参加型ですね。以前勤務していた学校では、夏休みの課題として、親子で朝食づくりをしてもらったり、家庭でも「給食メニューを作ろう」という機会を設けていました。保護者からは「子どもに食事づくりを手伝わせるとかえって時間がかかる」という意見もあるようですが、いざ実践すると案外楽しんでもらっていたようです。

  食事には「ビタミン愛」というプラスアルファの栄養があります。私は和太鼓のクラブの顧問をしているのですが、2泊3日の合宿での食事は子どもたちに作らせました。中にはお米を研いだこともない子どももいます。家庭で体験していないのです。それはとてもかわいそうなことだと思います。親子のコミュニケーションの中で、食事に興味を持ち、いろいろな知識を養って欲しいと思います。野菜が不足してきたな、と体が要求するような子どもに育って欲しいのです。

 吉田 ごはんをしっかり食べる子どもには、手を抜いた食事が続くと叱られることがありますよ(笑)。母親も研究する気持ちがないといけませんね。

 幸田 ごはんは日本の主食であり、文化があります。米を通して栄養や歴史、健康等、学習することがたくさんあります。最近は、雑穀が見直されているので、積極的に利用して、きびごはん、五穀ごはん、カレーライスに麦を入れたりと、新しい食材を活用し、子どもたちに給食を通じて体験させています。

大切な食の指導

−−子どもたちにとって食生活で必要なことは何でしょうか?

 原 現代は家庭の状況も複雑になってきています。それだけに食生活についても自立して生きていく力を養っていくことが必要なのです。食べることに興味を持ってくれればと、食事について調べられるように冊子やカードをまとめて、生徒たちに見せています。中学生ですから自分で調べることができるはずです。気づく事が学ぶことにつながるのですから、食事についても自己解決できる力を養っていきたいですね。

 幸田 原先生がおっしゃるように、小さいときから食の大切さを繰り返し知識や体験を通して教えていくことが必要です。食は健康な体づくりの大事な一つなので、日常的に学習したことが生かされ、いつも元気なためにはどうしたらいいかを考えられる子どもになってもらいたいです。本校の総合的な学習の時間として、5年生はバケツ稲づくりを実施し、世界の米料理について調べ学習をしています。

 白石 薬に頼らない体づくりをしっかりと教えていきたいですね。食べ物の入り口と出口をきちんと知ることで、健康な体が作られていきます。食事はその健康づくりの基本になることですから、「本当に大切なものは何か」を、氾濫する食材や情報の中から選ぶことができるようになって欲しいと思います。

 吉田 先生方のお話を聞き、親として、食事は家庭の基本であることを改めて認識しました。食事がしつけにつながることも感じました。今の子どもは帰宅も遅く、忙しいのが現状です。とても疲れていて「お手伝い」を頼めない状況がありますが、母親が声をかけ、食事に関わる機会を作ることも大切なのだと感じます。

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