スペースワールドで勤労体験

北九州市木屋瀬中学校

進路指導の一環に

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 北九州市立木屋瀬中学校は平成9年度より、文部省の中学校進路指導総合改善事業・研究推進校に指定されている。これまで「生徒の可能性を伸ばす教育に努め、進路指導の充実を図る」を研究主題として取り組んできた。「これをベースにさらに生徒一人ひとりの可能性を伸ばし、将来への展望がもてるような進路指導に努めたい」と3年前に就任した高尾秀治校長は抱負を語る。

 現在進められている教育改革でも、進路指導の改善・充実が重要な課題。地域や保護者の教育力を活用し、生徒に「生き方」にかかわる幅広い体験を得させるなど総合的に取り組んでいる。同校全職員が各研究部会に所属する研究推進委員会を設置し、学校・保護者・地域連携のあり方について協議する地域推進会議を設け、「家庭ぐるみ・地域ぐるみ」で進路指導を推進している。

進路指導について
 これまでの進路指導は、一般に進学指導(高校選び)の観があった。今後は生徒が自分の個性と将来の生活についての理解を深め、自分の可能性を発見し、自分なりの生き方を求めて、自らの意志と責任で将来の進路を切り拓くような能力・態度を育成することが、より強く求められている。
 すなわち進路指導=生き方指導。そして進路指導の転換を図るための基本的な視点として、1学校選択の指導から生き方の指導へ2進学可能な学校選択の指導から、進学したい学校の選択の指導へ3100%の合格をめざす指導から生徒の意欲・努力を重視する指導へ4教師の選択決定から生徒の選択決定への指導へということがあげられる。

進路指導推進会議
 同校は進路指導(生き方指導)の研究実践を効果的に進めていくため、2年前から進路指導推進会議(地域推進会議)を設置している。これは近隣の小学校・中学校・高等学校等の学校関係者、PTA、地域の諸団体、地域の企業の代表者等により、構成され、学校と地域・保護者の連携のあり方や学校の教育活動に提言をもらうもの。
 一昨年秋には、同会議の一員であるスペースワールドの協力により、社会見学の時間を利用して生徒たちが一日社員となる体験学習を実施した。働くことの責任と厳しさを学び、テーマパークのスムーズな営業を陰で支える人々の苦労と努力を知り、将来の仕事に対する意識を高めるのが目的。

実習の内容
 清掃=パーク内の掃除▽物販=店舗オープン業務(主に店内清掃、商品出し陳列)▽救護、技術、警備、シアターショー、サービスカウンターなど。

〈参加した生徒の声=作文より〉   
 売店の手伝いを通して、準備の大変さを知った。店内の清掃、包装紙の準備、レジの打ち込み、商品の並び換えなどいろいろな仕事があることを知ることができた。お客さんが入場する時のあいさつも、「早さ」「声」「笑顔」など、いろいろなことに気をつけることも分かり、たいへん勉強になった。お客さんとして来たときには知ることのできない企業の裏側を知ることができてよかったと思っている。普段、私たちが楽しんでいるスペースワールドの陰には、「楽しさ」を与えてくれるために多くの人々が何時間も前から準備をしていることを忘れないようにしたい。
 ◇ 
 開園してから一生懸命掃除をしたところに平気でお客様がゴミを落としていたのを見て、僕はとても悲しく思った。この体験を通して、お客様を迎える立場の大変さとどんな仕事も楽でないことを知った。
 ◇ 
 日頃みんなが楽しみに乗っている「タイタン」や「ビーナス」には、大変な点検作業が行われていることを知った。同じところを何回も通らせてはブレーキをかける、この繰り返しだった。車両の外側の点検作業を終えると次は中の点検作業。朝から大変な仕事だと思った。でもそんな点検作業を行っているから僕らは安心して乗り物に乗ることができる。スペースワールドで働いている人たちの、仕事に対する責任感を強く感じた貴重な体験学習だった。
 ◇ 
 体験活動を通して、生徒たちは将来の仕事に対する意識を高めただけでなく、環境保護・美化の意識も高め、環境を守るために、一人ひとりが何をするべきかまで考えたようだ。
 この取り組みは、同社としても初めての経験。これをきっかけに理科や職場体験の場としても提供していきたいと同社は今後も支持する考えだ。

(教育家庭新聞99年7月24日号)