共同学習の推進には教師の連携大切
  
校内LANを構築

北海道、東京、大阪、長崎の小学校教諭が協力して取り組んでいるインターネットを活用した共同学習についてのパネルディスカッションが2月23日、「総合的な学習とインターネット実践セミナー」(主催・日本教育工学振興会、協賛・NEC)の中で東京の新宿文化センターで開かれた。

 このインターネット共同学習には、札幌市立北九条小学校、調布市立杉森小学校(東京都)、大阪市立長吉出戸小学校、時津町立時津東小学校(長崎県)の4校が参加。パネルディスカッションでは、各学校で共同学習を担当する4人の先生がパネラーに、また、文教大学教育学部講師の松田實氏がコーディネータになり、共同学習の具体的内容や問題点などについて話し合われた。

 共同学習のテーマは「方言」。例えば、長崎の小学校から「〇〇〇という言葉の意味、分かりますか?」という内容のメールが他の3校に出される。メールを受け取った学校は返信メールで答えとともに、自分たちの方言についてのクイズも出す。大阪の小学校では、受け取ったメールを拡大コピーして教室の後ろの壁に貼り、答を子どもに考えさせる方法をとっている。他の先生も、この「方言クイズ」は子どもにとても評判が良いと話す。

 パネラーは、メールの書き方を指導することはとても重要だと指摘。初めてメールを出す相手に、子どもが「おっはー」と書き出したことを例にあげ、まず自己紹介してから要件を書くこと、質問する時も自分たちで少し調べて「ここまで分かった」旨を書いてからたずねるように指導していることなどを話した。

 また、いきなり遠くの学校と交流しないで、まず校内LANで6年生と2年生というような学年間交流で練習をしてから、次は隣の学校と交流するなど、段階を踏むことが共同学習を失敗させないコツだとも語る。

 インターネットを活用した共同学習の効果をあげるためには、教師同士が顔見知りであることが大切で、教師の連携が重要であると指摘し、「影メール」の重要性をあげる。影メールとは「子どもからの返事が1日遅れる」「こんな企画を考えている」など、共同学習をスムーズに運営するため先生同士が行う業務連絡メール。「子どもがメールをやり取りする以前に、先生同士がメールのやり取りをすることが大切だ」というのが、ディスカッションに参加した先生の共通意見だ。

 一方、情報ネットワークを活用するための学校内における体制づくりにも言及。情報担当教員だけでなく学校全体で取り組むことや、校外から届いた電子メール文書の校内処理手順を整理することが重要だと話した。また、コンピュータルームはいつでも子どもに開放することが大切だとし、「乱暴に扱ってコンピュータが壊れる」とか「子どもが有害なウェブ情報に接してしまうのでは」といったことも、それほど心配するほどではなかったと報告した。

 セミナーでは、東京工業大学教授の赤堀侃司氏による講演も実施された。

(2001年3月3日号より)