全教員にPCを支給へ
  校内LANも同時構築 鳥取、三重、高知の高校で


 県立高校で、全教員にコンピュータを支給する動きが出始めている。鳥取県は今秋までに、三重県は13・14年度の2年間で、早くから取り組んできた高知県は、計画を見直し14年度までに、全教員にコンピュータを支給する。これに併せて、各県とも校内LANの構築を進め、中でも三重県はギガビットLANで学校間を結ぶ。また、鳥取県は校内LAN導入校に各教室にプロジェクタも1台ずつ設置する。


鳥取県

 鳥取県は今年度中に県立学校の教職員全員にコンピュータを支給する。予算額は4年リースで月額1307万5000円。県全体で行政のIT化を進めていて、その一環として6月補正で予算がついた。ミレニアムプロジェクトの目標を達成し、できるだけ早く生徒に還元することが目的。
 機種の選定はまだこれからで、実際に教職員の手に渡るのは9月、10月になる予定。バンドルされるソフトも検討中だ。
 鳥取県は操作できる先生の割合は71・2%(文科省の12年3月調査)だが、コンピュータに不慣れな教職員に対しては、夏休みから9月にかけて、各学校に情報教育アドバイザーを派遣し、キーボードの打ち方やコンピュータの基本的な操作、アプリケーションの基本操作などを教える。
 県立学校のインターネット接続率は100%で、ほとんどの学校がISDN64Kbpsでダイアルアップ接続している。また、12年度に校長室、職員室、事務室は全校LANで接続されている。これに加え、文科省の補助を受けて、インターネットに毎秒1・5メガビット(1・5Mbps)の高速で接続し、校内は毎秒100メガビット(100Mbps)の高速LANの構築を進めている。校数は、昨年度が3校、今年度5校、来年度14校。校内LANだけでなく、各普通教室にコンピュータを2台ずつ、プロジェクタも天井貼り付け型で各教室に1台、さらに黒板もホワイトボードにして開くと中央がスクリーンになるタイプを設置するというりっぱな環境だ。メールアドレスも全教職員及び全生徒に発行できる環境にある。

三重県

 三重県は13年度、14年度の2年間で県立学校の教員全員にコンピュータを配布しメールアドレスも1人に1つずつ付与する。予算は今年度の当初予算で約3億円が計上されている。来年度もほぼ同額を計上し、約2000台ずつ、計4000台を配備する。また教員の配備にあわせ、県内の小中学校の校長にもコンピュータを配布する。コンピュータが教員の手元に渡るのは、冬ぐらいになる予定。
 三重県では、12年度中に行政職の1人1台整備が完了。また、県庁WANも構築され、管理職と事務職には既に1人1台のコンピュータが整備されて、教育委員会からの各学校への通知もほとんどメールによる通知になっているという下地がある。
 今回の全教員への配備は、校務の効率化を図る、校内でいつでもどこでもだれでもインターネットを利用できる環境を作る、学校間での共同学習や教育委員会と学校間での情報の共有を図るなどがねらい。
 これに先立ち、今年3月末には県立学校の全校に校内LANが整備され、すべての教室、職員室には情報コンセントが設置されている。校内の幹線は毎秒1ギガビット(1Gbps)、幹線から各教室へは毎秒100メガビットという高速なもの。
 校内LANの構築については次のような経緯がある。最初は、12年度当初予算に約3000万円を盛り込み、モデル校1校に校内LANを整備する計画だった。それを、9月補正予算で約14億円が計上され、全校のLAN整備を進めることになった。1月に工事に入り3月には完了するという急ピッチなもの。情報化の整備にかける県の意気込みが伝わってくる。
 この三重県の学校情報「くものす」ネットワークにはノーテルネットワークス社の光ソリューションが導入され、県立学校79校と県立図書館などの教育機関がギガビット・イーサネットLANで結ばれている。つまり、学校間も毎秒1ギガビットの高速回線で接続されている。

高知県

 高知県も教員1人に1台のコンピュータを支給する。これは、11年度からの事業で、当初は13年度までの3年間で教員2人に1台の割合でコンピュータの配備を進めていた。その計画を12年度末に見直し、13、14年度の2年間で1人に1台を支給することになった。
 コンピュータは毎年順次県立学校52校に教員数に応じて配備され、14年度末には2690台が配備される。校務用パソコンとして、マイクロソフトのオフィス系ソフトがバンドルされている。
 コンピュータの機種は12年度まではノートパソコンだったが、ノートパソコンではキーボードが打ちにくいことから、一体型に変更される予定。
 また、県立学校における校内LANの構築は、9年度に2校、10年度5校、11年度5校と早くから取り組まれ、これに12年度の当初予算で20校、補正予算で20校の校内LANが構築されることになった。つまり、全県立学校で校内LANが組まれ、すべての教室に情報コンセントが設置され、14年度末にはすべての教員にパソコンが行き渡る。



(2001年7月7日号より)