高速ネットの研究化の現況
つくば市で授業と全体会



 昨年11月28日、つくば市で先進的教育用ネットワークモデル地域事業の研究発表が行われ、並木小学校、竹園東小学校、竹園東中学校の3校の公開授業と全体会での実践発表やパネル討論が行われた。主催はつくば市・土浦市教育委員会。
 竹園東小学校では、6年生が体育館で4つのブースで、スマートボードを使ってテレビ会議や卒業研究発表を行った。
 6年生はこれまで総合的な学習で、3年生から3年間にわたって環境や福祉をテーマに学年全体やグループ及び個人でテーマ設定の仕方や学び方、ものの考え方を学習してきた。6年生はこの経験を生かし、1人ひとりがテーマを持ち課題を追求する「卒業研究」に取り組んでいる。
 研究テーマは、「自分で本を作ってみよう」、「心理テストの作り方」、「高橋尚子の走りを探る」など様々。
 当日は、卒業研究のブースでは、ボードに手でタッチしてパソコンで作ったプレゼンテーション資料を操作できるスマートボードを活用して、各児童が自分の研究を発表していた。また、テレビ会議のブースでは、子どもたちの課題をある程度集約して並木小の児童と話し合うもので、「捨て犬、捨て猫、どうしたらいい」といったテーマについて熱心に話し合ったり、文部科学省の教育用コンテンツを活用して日本と外国の生活の違いについて考えた。
 竹園東小学校は日本で最初にCAIシステムが導入された学校。現在では、教室前のオープンスペースにもコンピュータが設置され校内LANが構築された環境で、教育用グループウェア「スタディノート」を使って各学年の学習の記録がディジタルポートフォリオとして蓄積されている。
 午後の全体会では、藤井伸ニ・つくば市教育長、岩瀬公一・文部科学省初等中等教育局参事官が挨拶。その後、毛利靖・つくば市教育委員会指導主事が学習環境や学習スタイル、研修スタイルの工夫をしてきたつくば市の研究の足跡について、またつくば市立桜南小学校の今泉英樹先生が市内の小中学校全体で約40のテーマについて共同学習に取り組んでいることを説明した。さらに、土浦市立土浦第二小学校の天具貢先生が、昭和63年という早期から開始した土浦市の実践を話した。
 パネルディスカッションは、余田義彦・筑波大学助教授をコーディネータに、両市の小中学校の先生がパネラーになり、ネットワークを使って共同学習を活性化させる方法を話し合った。教師のネットワーク利用を促進する手だてについては、「職員室のプリンタ共有からはじめ、その便利さを理解してもらっていった」(土浦ニ小・天具)、「まず先生に便利な環境を作ることが大切」(竹園東中・森田充教頭)、「研修の中に授業にどう生かせるかを中心に研修する」(竹園東小・吉田浩)、「まず子どもがネットワークを使えるようにする。その過程で、子どもの願いに迫られて教師のスキルが上がっていく」(並木小・野村光)などこもごもの意見が出た。また、共同学習の進め方については、「つくば市では、共同学習を担当している先生を集めて、テーマごとのプロジェクトの一覧表を作っている」(竹園東中・森田)といった秘訣も明かされた。
 会場からも活発に質問が寄せられた。そのうちの1つ、コンピュータを活用した学習の中で学力をどうとらえているか」については、「学力のとらえかたは、様々。総合学習の中で身につけさせる能力、観点については各校で設定すべきである」などとパネラーが答えていた。



(2002年1月1日号より)