IT教育深化・定着へ 文部科学省14年度予算
授業での活用法研究、全国へ



 平成14年度文部科学省予算の一般会計は6兆5798億1500万円で対前年度比14億2100万円増、国立学校特別会計は2兆7828億7900万円で対前年度比401億700万円増となった。情報関係の事業では、学校のインターネット接続を高速回線での接続へ切り替えるため、「高度教育用ネットワーク利用環境整備事業」を新規に、また授業でのITの活用方法を研究し全国に普及させるため「IT教育深化・定着プロジェクト戦略会議」を新規に、生涯学習分野では図書館を地域の情報拠点に育てるため、「図書館の地域IT学習情報拠点化推進事業」などを新規に実施。教育コンテンツの開発も行う。


 「e−Japan2002プログラム」で17年度までにすべての公立学校が高速にインターネットに接続できる環境の整備を目指すとされ、14年度からADSLや光ファイバーへの切り替えが推進されることになっている。これに伴い、「高度教育用ネットワーク利用環境整備事業」(8億3718万円、新規)により、教育用ネットワークを構築し学校の高速インターネット接続を推進する地方公共団体に対し、中心機能を持つ地域センターの設置に必要なネットワークサーバ・ルータ等の情報通信設備、有害情報などのフィルタリングなどを行うソフトウェアなどの整備にかかる経費の一部を補助する。34地域、補助率2分の1。
 また、「IT教育深化・定着プロジェクト戦略会議」(14億9652万円、新規)を開始。教育の情報化を飛躍的に推進するため、ソフト面(授業におけるITの効果的な活用方法)の課題を分析し、有効な方法を研究。その成果の全国への普及を目指す。
 平成10、11、12年度補正予算により立ち上げられたCATVや光ファイバーなど高速回線を活用した教育方法について研究開発を継続する。事業名「次世代ITを活用した未来型教育研究開発等」(10億1100万円)。59地域、3200校。
 従来から行われている「へき地学校等のためのIT活用方法研究開発」(2億7700万円)も、大画面テレビなどを用いた双方向授業のあり方などについて研究開発する。23か所。
 また、新たに「コンテンツ活用による指導方法に関する研究」(1億5200万円)を開始する。特に民間企業のみでは開発が進まない分野(専門教科等)について教育用コンテンツを開発。コンテンツ開発4件、コンテンツ改善・普及16件。
 さらに、「学校情報化推進に資する研究」(1900万円)として、情報化の影の部分への対応やIT活用の諸課題について、教育関係団体に研究を委託し、ガイドブックなどを作成・配布する。3件。
 生涯学習分野の「学習拠点施設情報化等推進事業」(3億9500万円)として、新たに地域の情報拠点として大きな役割を果たす公立図書館の設備を整備する。エル・ネット(教育情報衛星通信ネットワーク)の受信設備や情報提供システム、移動図書館車、点訳本作成機などを整備。47都道府県、単価841万円。
 また「生涯学習のIT化支援事業」(2億9900万円)として、新たに各社会教育施設がエル・ネットを利用してIT活用型生涯学習事業をプランニングする際の事例を提供したりエル・ネットの高度化、ネットワーク運営費の補助などを行う。
 前述の事業とダブるが、図書館を地域の情報拠点とするため、「図書館の地域IT学習情報拠点化推進事業」(4億6100万円)を新たに実施。パソコンが未整備な図書館に一般利用できるパソコンやプリンタなどを設置する。1347館、単価68万4900円。補助率2分の1。
 すべての教職員がコンピュータやネットワーク等の視聴覚機器を用いて各種のコンテンツを活用した授業ができるように実践研究を行う。事業名は「デジタルコンテンツの活用高度化事業」(1億2400万円)。9コンソーシアムに委託。単価1268万5000円。
 また、IT国家のショーケースとして、生涯学習フェスティバルとタイアップで「e−スクール」(2300万円)を開催。インターネットを活用したモデル授業など各種のイベントを実施する。さらに、「教育情報ナショナルセンター機能の構築」(7100万円)により、利用者エントリー機能や外部データベース連携機能などポータルサイト機能の高度化を行う。
 一方、私立学校の助成のため、「施設高機能化整備費補助」(9億7700万円)として、私立高校(普通科)や中等教育諸学校、中学校、小学校などを対象に、情報教室や校内LANの構築、施設のバリアフリー化などの校舎施設の改造工事を補助する。上限2億円、下限1000万円。補助率3分の1以内。また、「私立高等学校等IT教育設備整備推進事業」(9億2500万円)により、高等学校等のIT教育設備の整備を補助する。補助率2分の1以内。



(2002年2月2日号より)